年金の「支える人数」問題、定年引き上げだけでは絶対に解決しない

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本家サイトで明日あたりに更新・掲載予定の記事から抜粋。年金周りでよく問題視される「何人の若者=生産人口で、年金生活者を支えるのかの構図」に関するお話。この問題の解決法として、年金受給開始年齢を引き延ばさざるを得ないので、その分をサポートするために定年を引き上げるとの方向で話が進んでいるけど、それじゃ意味ないじゃん、ということ。

労働市場そのものの拡大を連動させない限り、定年引き上げの政策を優先すれば、当然現在の労働者人口が割を食うことになる。ピザの例えなら、ピザそのものの大きさは変わらないのに、先輩たちが割り込んできて「俺達を優先的に食わせろ」と言ってきたようなもの。後輩たちは食えなくなるかもしれない。これが先進諸国共通の「若年層の高失業率」の根本的な構図(他にも単純作業が海外で行われるようになったり、機械に置換されたり、人材養成そのものがないがしろにされているとか、色々と要素はあるんだけど)。

で。根本的な解決策としては、やはり労働機会を増やすしかない。...んだけど、だからといって、ここ数年ちらほら話題に登る「ワークシェア」では意味が無い。「ワークシェア」では労働人口は増やせるけど、得られる対価の総額は変わらないので、結局みんなが貧乏になり、若年層は高齢者を支える余力が無くなる(今件ならば年金保険料が払えなくなる)。高齢者は元々年金を受け取っているから、労働対価は少なくても何とかなるけど、年金はまだもらえない若年層はそうもいかない。

結局、個別個別の切り盛りでは無く、社会全体のリソースの分配という観点で見ていかないと、問題は解決しないのよね。産業の活性化、新市場の開拓が必要。それには多額の研究開発や投資が必要。要は種をたくさん植えて畑を耕さなきゃいけない。でも今は、種もみを高齢者に分け与えたり、畑を売り払って高齢者に代金を分配している。これじゃ若者が納得するはずもない。

まずは総合的なリソースを増やす手立てを講じよう。そうでなきゃ、先行きが不安になるのは当然の話。でも今は高齢者の方が数は多いし投票率も高いので、政治家も「焼き畑農業的」だとは分かっていても、そちらを向かなきゃならない。だからこそ、先日ちらりと触れた「高齢層における選挙権云々」ってのにつながるのよね、実は。

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このページは、不破雷蔵が2014年8月18日 07:05に書いた記事です。

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