日本国内の火力発電所の緊急総点検、「電力の需給に影響を及ぼす異常は見つかっていません」との結果

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【火力発電所の総点検の結果を公表します」(経産省)】

↑ 関西電力海南発電所への巡察
↑ 関西電力海南発電所への巡察


今回の総点検では、電力の需給に影響を及ぼす異常は見つかっていません。しかし、今夏の需給は非常に厳しく予断を許さない状況にあることには何ら変わりはありません。高需要期を本格的に迎えるに当たり、電力各社には、老朽火力設備などを中心に巡視点検の強化等に万全を期すことにより、供給力確保、電気設備の事故の防止、万一の事故発生時の早期復旧のための対策について徹底することを求めました。

すでに該当時期は始まっているけど、【「今年も数値目標なし」...2014年夏の節電要請内容正式発表】でも説明したように、今夏は昨年以上に厳しい電力事情が見込まれる中で、節電開始期間となる7月1日までに、日本各地の火力発電所に対し、一斉点検を実施してその結果報告の要請が行われていた。その結果が先日発表された。

結果としては「こりゃまずいだろ、このまま放置継続運転しているとトラブルが起きて電力需給に重大な影響が生じかねん」という、目に見えたリスクは発見されなかったということ。ただし需給問題が解決したわけではなく、リスクの一つが取り除かれたに過ぎないのであり、対応に万全を期すように求めたという次第。まぁ、リスク事象は予見できる明らかなものもあれば、突然生じるものもあるからねえ(そもそもすべてのトラブルが事前に察知できるのなら、すべてにおいて事前対応が出来るか、トラブルの対象となるそのものを無くしてしまえばよいので、トラブルそのものは生じていないことになる)。

また、同じ記事で言及していた、中部・西日本における予備電力の積み増しについても同日結果が出ている(【2014 年度夏季の電力需給対策に基づく予備力の積み増し結果を取りまとめました(経産省)】)。結果として6電力会社合わせて43.4万kWの予備力を積み増すことが出来、リスクは一つ減少したことになる......けど、経産省のリリースでは数字のみだけど、各電力会社の詳細内容を見ると(たとえば関電。【今夏に向けた電力需給に係る予備力の積み増し結果の報告について】)、相当な無茶やってるのよね。金銭面やメンテ面で。直上でトラブルリスク回避のために火力発電の総点検を行う一方で、トラブルリスクが増すメンテ関連を悪化させるという、矛盾した状況。

こんな状況、継続させること次第が異常ってことを、もっと周知させるべきなんだけどねえ。カントリーリスクや燃料費のコストアップもあわせ。ブラック企業の所業そのものだし、漫画家に例えると、徹夜続きで〆切になんとか間に合ったから、じゃあそのペースで今後もずっと描いてね? と編集側に強要されるようなものなんだよね。

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このページは、不破雷蔵が2014年7月 2日 06:49に書いた記事です。

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