「世界各地で取り残される若者」

| コメント(0)



若者の失業は重要な問題だ。先進国でも新興国でも、至るところで若者はかつてないほど取り残されている。しかも一度差が生じると、それがいつまでも続き、差を埋めるのが難しい傾向がある。

「正しい政策が実施されなければ、成長の観点から見た『失われた10年』のリスクがあるだけでなく、『失われた世代』のリスクもある」と、国際通貨基金(IMF)のネマト・シャフィク副専務理事は警告する。

だが、政策立案者もこの問題に気付いている。失業中の若者を支援することは、フランス大統領選で成功を収めたフランソワ・オランド氏の選挙戦のテーマだったし、欧州各地で政府が自国の労働慣行の見直しに取り組んできた。

統計は憂慮すべきものだ。危機に見舞われた欧州では、加盟国の大半が先進国である経済協力開発機構(OECD)が統計を取り始めて以来、25歳未満の失業率が最も高くなっている。ギリシャとスペインでは若者の2人に1人が失業しており、サウジアラビアとイタリアでは若年失業率が中高齢層の失業率の4倍に上っている。

OECDは、「景気が良い時なら仕事に就けたと思える人たちの間でさえ、かなりの割合の若者が長期の失業や職探しもしない状況に陥る大きな危険にさらされており、その割合も高まっている。これは、若者の生涯にわたるキャリアと生活を傷つける可能性が高い」と警告する。

中期的な問題も増えている。雇用の見通しが立たない若者は、安定した家庭を築くのが遅れる。活動的で雇用の見通しが明るい若者はしばしば母国から移住する一方、自国にとどまる人は、得られる仕事に対しては自分の資格が過剰であることが多い。

長期的に見ると、長く失業に苦しむ人たちは、数十年後にもまだその影響を感じる可能性が高い。大学の学費を個人で支払う習慣が深く根づいている米国では、輝かしいキャリアと呼べない仕事を持つ人たちに、学生ローンの負担がつきまとう。また、卒業した人々が学生ローンを返済できなければ、将来、金融の安定を損なう恐れもある。


最近は毎月更新している、EU統計局のデータを基にした失業率の話や、年一での日本国内の失業率、その他もろもろの他の社会現象(例えば婚姻率や出産率周り)でも触れているけど、いわゆる『先進国病』の症状の一つとしてあげられる「若年層の失業率問題」。今元記事では「具体的にどうするのが良いのか」までは踏み込んでいないけど、程よいボリュームで現状認識用の解説がなされている。

本文では「傷」という言葉で例えられているけど、金銭的な機会損失以外に技術や経験の会得機会損失、そしてなによりも本人のモチベーション・労働意欲の損失という点で、考えなければならないことは多い。

先日も本家サイトの記事でちらりと触れたけど、日本の終身雇用制という仕組みは、All or Nothingの判定で卑下されるものではなく、選択肢の一つとして評価に値するものではないかな、と思う今日この頃。もちろん「右肩下がり」ではなく「右肩上がり」「期待が持てる未来への道筋が見えている」という前提があるんだけどさ。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2012年7月 8日 07:11に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「「電子ペーパーは液晶画面よりも読みやすく、目が疲れにくい」との論文」です。

次の記事は「「オランジーナ」がチョー売れてるとの話」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30