ジョヴァンニ・チャッフォーニ。彼は、視覚障害者が地図を調べ、自分のいる場所を知るのを補助するアプリを作成した。そして、アップルは彼をWWDCに招待した。
「Ariadne GPS」は5,000ダウンロードを達成した。しかし、アプリが成功を誇ることができるのは、ダウンロード数ではなく、開発した技術のためである。「VoiceOver」によって、視覚障害者が音声フィードバックを用いて地図を調べることを可能にした。GPSを用いて、行きたい場所の近くに来たときにユーザーに通知を行うことができるというものだ。
バスに乗っていて、ある停留所で降りなければならないと想像してみてほしい。チャッフォーニのアプリはあなたが行き先から数百mの距離まで来ると、教えてくれる。あなたの目が見えないと想像してみてほしい。そうすれば、なぜアップルがこのアプリに夢中になってチャッフォーニをWWDCに呼び、ティム・クックが基調講演の間に彼に感謝の言葉まで述べたかがわかるだろう。
チャッフォーニは36歳だ。ボローニャの視覚障害者センターで、ウェブと電子テキストのアクセシビリティの開発者、コンサルタントとして働いている。しかし、「Ariadne GPS」は彼が自由時間に進めたプロジェクトである。わたしたちはWWDCが行われたサンフランシスコで彼に会い、プロジェクトについて話をしてもらった。
......ということでインタビュー本文は引用原文を参照してもらうとして。デジタルツールを活用して、世の中を便利にする、不便に思っている人たちに手を差し伸べることの素晴らしさを象徴する、一つの事例として覚書をしておきたい。魔女狩り的なテレビ演出だの、一部の非科学的な主張によって、日本では今まで以上に科学や技術が軽視される傾向が強くなっているけど、科学・技術は結局のところ人による「世の中を良くしたい、楽にしたい、幸せになりたい」という想いの手段でしかない。
こういう発想の技術には惜しみない賛美と正当な対価がもたらされるべきだし、それを果たしたアップルもまた、同様の賛美を与えられてしかるべきだと思うのだな。
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