【更新】買い取り制度の廃止で大きく揺らぐ、ドイツの太陽光発電市場の現状

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[ドイツの太陽光発電設備メーカーの倒産が相次ぐ]



3月2日の報道によると、ドイツ政府が2月23日に太陽光発電を対象とする全量買取制度を2013年から廃止すると発表した政府案を受けて、太陽光発電設備メーカーの倒産が相次いでいる。オランダの太陽光発電設備メーカーScheutenSolarのドイツ子会社4社が経営悪化に伴い、2月29日、エッセン簡易裁判所に会社更生法の適用を申請。3月1日にはドイツのRalosNewEnergieAGもダルムシュタット簡易裁判所に会社更生法の適用を申請した。

ドイツの太陽光発電設備メーカーの業績は政府案が発表される前から悪化していた。昨年末にはすでにSolonが経営破綻、ドイツ最大手の Solarworldも業績が厳しい状態にある。背景には、安価な中国製太陽光パネルの流入増加により、値下げ競争が激化している実情があり、政府案により、先行き悲観論が高まったといえる。


【国際専門機関からも「意味無いからヤメレ」と突っ込まれたドイツの太陽光発電政策】【「エネルギー政策でドイツに続け」「え、いいの?」】などにもある通り、財政上の困難から太陽光発電の買い取り制度の廃止を決めたドイツ。太陽光発電周りの市場で大きな変化が起きている。「政府の買い支えがないんじゃ、コスト的に割が合わないから、やーめた」というところ。

政府の補助金の意図としては「コスト高でもいいから普及させたい」と「技術の進歩が成されるまでは、先行投資的な形で補助金を出す」というものがあったんだけど、前者は思惑通りになったものの後者は想定よりはるかに重い足並みでしかなく、結局お財布の中身が先に空っぽになった次第。

技術が進歩してコストが下がれば、補助金を少なくしても同じ市場価格で出せる。そしてさらに技術が進歩してさらにコストが下がれば......を繰り返し、最終的には補助金なしでも十分採算の取れるエネルギー源になる。そういう目論見は十分考えられるけど、間に合わなかったわけだね。なんだか、ネットゲームの設備周りと、会員の増減関係を見ているようで、興味深い。

ともあれ、補助金による市場の底支えには限度があるし、第一最終的には国民全員の負担になる。市場規模拡大が前提の案件で、十年単位で同じ価格で国に買い取らせ続けることを強要するなど、狂気の沙汰か、あるいは単なるペテン師でしかないわけだな。

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このページは、不破雷蔵が2012年3月24日 08:53に書いた記事です。

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