【更新】身の回りにも天然ウランやトリウムを含む商品があって放射線は出てるのよ、というレポート

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地球上には,数多くの自然起源の放射性核種が存在する。放射性核種を有意な量を含む物質をNORM(Naturally Occurring Radioactive Materials)と定義する1)。その中で特に,ウラン,トリウムを含む多種多様なNORM 消費財は,民生用および工業用として数多く利用されている。そこで本報では,ウラン,トリウムを含む消費財をNORM 消費財と記述する。

これらを分類すると,化合物自身がもつ物理,化学的性質を利用するNORM 消費財と発生する微弱な放射線を利用するNORM 消費財に大別できる。前者の代表的なNORM 消費財は,研磨剤,陶器の釉薬(上薬)とタングステンアーク溶接電極棒である。アクチニド系列に属するウランは,原子内部の5f 軌道で電子が不充足になるので,その化合物の色は鮮明である。この理由から放射能が発見される以前からウラン化合物は陶器の釉薬(上薬),ウランガラスに利用されている2)。また,溶接電極棒に含まれる酸化トリウムは,使用時のアーク放電特性,耐熱衝撃,機械的強度の向上に寄与している。

NORM から発生する微弱な放射線を利用するNORM消費財として,健康増進製品が流通している。1948年,ラドンの水中濃度74 Bq/kg以上またはラジウム塩10-8mg 以上を含む鉱泉を温泉と規定されて以来3),ラドン,トロンを含む温泉(一般にはラジウム温泉と呼ばれる)は筋肉系病気,神経痛,皮膚病等に効用があるといわれている。また,最近,環境中のマイナスイオンは,体内の活性酸素を抑制し脳脂質の過酸化防止,血糖値の減少,殺菌作用等で健康増進に有効であると話題となっている4)。このような環境を身近につくるNORM 消費財として,家庭用温泉器,寝具,肌着,装飾品等が商品化されている。また,工業製品として,船底に貝類が付着するのを防止するためNORM を含む塗料が利用されている。

日常生活で身近に存在するこれらの製品中の放射能濃度と,その製品を利用することによりどの程度で被ばくするかを知ることは,低放射線量の人体への影響,今後の放射線防護と規制のあり方を考える上で重要である。そこで,本研究では,現在市販されているNORM 消費財をできる限り収集し,それらの放射能濃度を測定した。さらに,代表的な消費財については,その典型的な使用形態を仮定し,被ばく線量を評価した。


たばこやら壁紙の接着剤やらによるラドンのリスクはすでに【「喫煙者のラドンリスクは8倍」...室内の放射線量とラドンによる肺がんリスク】などで覚え書きしているけど、もっと直接的にウランやトリウムについて含有量、放射能濃度などを調べてみたよ、という研究結果。対象は布団や腹巻、リストバンドや靴下など、肌身につけたり身近に室内に置かれているものばかり(中には船底塗料みたいなものもあるけどね)。結構色々「ある」ものだなぁ、ということで、後学のためにも覚え書き。


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このページは、不破雷蔵が2011年10月17日 07:54に書いた記事です。

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