みそと放射線の話

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【みそによって、原爆後遺症が少なくて済んだ】



ところで、広島での原爆後遺症の調査の中に「みそを食べていたので、原爆後遺症が軽症で済んだ」という報告があります。この結果はヨーロッパでも知られており、1986年のチェルノブイリ原発事故の際には、ヨーロッパへのみそ輸出が急増しました。
さて、みそには本当に体から放射性物質を取り除く効果があるのでしょうか。広島大学の伊藤明弘教授は、マウスを使った実験で、この効果を確かめています。

まず、マウスを4グループに分け、それぞれに次のような餌を1週間与えます。

1.乾燥赤みそを10%混合した餌
2.しょうゆを10%混合した餌
3.みそ入り餌と同じ塩分になるように食塩を入れた餌
4.普通の餌

その後X線(放射線)をマウスに照射し、その後の小腸粘膜幹細胞の生存率を調べます。これは、放射線障害の一つとして、小腸の内側の粘膜がはがれ落ち、強い消化管出血を起こして下痢・貧血を引き起こすということがわかっていたためです。
放射線照射の3日後の小腸粘膜幹細胞の生存率をまとめたのが下のグラフです。
X線の照射量が多いほど、小腸粘膜幹細胞は死滅していますが、みそ餌を与えたグループは最も細胞生存率が高いという結果が得られています。しょうゆ餌に関しても同様の傾向があります。
また、みそ餌、しょうゆ餌を与えられたマウスの腸粘膜を見てみると、傷んだはずの粘膜細胞が再生している様子が観察されたそうです。

さらに、マウスに直接アイソトープ(放射性同位元素)のヨウ素131とセシウム134を投与し、体内から排出されるか、という実験も行われました。その結果、あらかじめみそ餌を食べていたマウスでは、普通の餌を食べていたマウスよりもヨウ素をより多く排泄し、筋肉中のアイソトープ量も少なかったという結果が得られました。
ここから、みそ・しょうゆには、放射線から体を守る作用があることがわかりました。


まぁ、結局のところ「放射線」ってのは未知なる世界からやってきた謎の毒電波や毒生生物じゃなくて、細胞の再生能力を超えたスピードで細胞や内部DNAをぶち壊すわけで。細胞の再生能力を上げる&放射性物質を取り込んで排出しやすくするってのが、味噌の効力......と理解すればいいのかな。このあたりの仕組みは【ビール酵母とビールと放射線と】【ひまわりとお茶の葉と蕎麦とカリウムと】【Newton7月号の「ヒマワリと放射性物質吸収」云々の記事を読んで】あたりの話とつながってくるっぽいな。

「もやしもん」の出番な気がするのは気のせいだろうか。

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このページは、不破雷蔵が2011年7月 9日 09:43に書いた記事です。

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