正しく理解して納得できる「専門家が答える 暮らしの放射線Q&A」

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【Q】東京都に住んでいます。2歳の娘がおり、毎日の様に公園等外遊びをしています。先日、砂場にて娘が転んでしまい、口の中まで大量の土が入りこんでしまいました。水で口をゆすがせましたが、いくらかは飲み込んでしまったと思います。砂場には放射性物質が溜まっているとのことで大変心配しています。
今回のことでどの程度内部被ばくが起こってしまったと考えられるのでしょうか。また、普段から外遊びで娘は遊びながら芝生に寝転がったりゴロゴロしたりしてしまうのですが、やはり止めさせたほうが良いのでしょうか。

【A】現在、内部被ばくの問題となる主な放射性核種はセシウムと考えられます。野菜などに含まれるセシウムの摂取制限の濃度は、1キログラムあたり500 ベクレルとなっていますが、これは毎日数百gを1年間食べ続けることを考えて決めている値です。お子様が転んで口に砂が入ってしまったとのことですが、飲み込んだ量は野菜を食べる量に比べて、ごくわずかであったと思われます。私たちは普段から自然(大地、宇宙線、食物や体内の放射性カリウム)から常に放射線を受けています。その量に比べても砂を飲み込んでしまったことによる内部被ばくは、ごくわずかであると考えられます。

また、芝生の上でゴロゴロすることによる被ばくは、外部被ばくと考えられます。事故直後は、葉の表面にも放射性物質が付着していましたが、その後、雨も降っていますので、それが体に付着することはないと思われます。土壌が付着することも考えられますが、これも先ほどと同じでごくわずかであると考えられます。学校の校庭での屋外活動に対する放射線量基準(1時間あたり3.8マイクロシーベルト)が発表されていますが、東京では、今のところ、このような高い値の場所は見つかっておりません。また、この基準は1日8時間、校庭にいた場合を考えていますので、小さなお子様の場合、それほど長い時間屋外で遊んでいることはないかと思いますので、もっと少ない量となります。屋内でばかりいるとストレスがたまってしまったり、運動量が足りなくなったりと別の問題を引き起こす可能性もあります。

東京都では、区ごとに校庭の線量を測定しているようですので、お住まいの地区の情報をチェックしてみてください。


日本保険物理学会の有志の方々による、豊富な知識と実績と経験を元にした、懇切丁寧で論理的、理路整然とした、納得のいく解説。妙に危険を煽ったり「~という話もあるということを聞いた」「~という噂がある」といった感じの不確定なものを根拠としない、「こうだからこうなんだよ」という正しい前提のもとから導き出された結論を提示しているので、理解と納得を同時に得ることができる。

無論、むやみやたらに、闇雲に「安全だ」を連呼しているわけではなく、数理的な裏付けを元に「正しく恐れる」ことを基本としている。現状では実のところ、「正しく恐れ」てみたところ、恐れる必要は無いものが多かったというところ。

6月7日から質問受付を開始したようだけど、現在オーバーフロー状態で質問は一時受付停止中。ただ、主要カテゴリの「人体」「食物」「水」「その他」それぞれの、放射線の影響に関する質疑応答を読みとおすだけでも、かなりの疑問と不安は解消されるはず。

それと、ざっと読んでて気がついたのだけど、どうも少なからぬ人が「東日本大地震前は放射線って一切無かった」と勘違いしている向きがある。実際はずっと前から【日本の自然放射線量】にもあるように、いわゆる自然放射線ってのが存在しているんだけどね。

......こーいうのは携帯電話向けにも配信すべきだと思うんだよなあ。


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この記事について

このページは、不破雷蔵が2011年6月26日 08:09に書いた記事です。

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