有機農業のわな

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英イングランドとウェールズで有機農業に全面移行した場合、生産量が減少してより多くの生産地が必要となるため、結果として温室効果ガスの排出量は増加するという研究論文が22日、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された。


有機農法に転換することで、食品ごとの温室効果ガス排出量は農作物で最大20%、畜産物で最大4%削減できる一方、生産スピードを速める肥料を使用しないために、農業や畜産業の非効率化につながる。


現代農法を止めて昔の有機農法に立ち戻れば、二酸化炭素を減らすことができるよ、という主張へのクリティカルヒット的なお話。要は、有機農法に戻せば化学肥料などを使わないから二酸化炭素発生量は減らせるかもしれないけど、その分収穫量は激減してしまう(というか収穫量を増やすための工夫の結果が現代の農法だから)。

同じ量の収穫をするためにはより多くの生産地が必要になるため、結果としてむしろ二酸化炭素の排出量は増えてしまうという、あるある話。


ツイートでは英国としちゃったけど、厳密にはイングランドとウェールズ。信憑性はこれから検証が必要だろうけど、論理的にはおかしいところは何もない。さらに、これってマンパワーの問題は精査されているのかな、とも思ったりする。

個人や小規模グループで有機農法を楽しむというのなら話は別だけど、大規模な領域、国レベルでの話としては、問題外ってことだよな、と。そもそも現代の農法に至るまでの蓄積で生産効率が上げられたからこそ、より多くの人口を支えられることができるようになったわけで。有機農法で二酸化炭素は減らせるけど人口も減ってしまった、なんてことになりかねない。

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このページは、不破雷蔵が2019年10月24日 06:26に書いた記事です。

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