若者の●×離れとか

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表は、各メディアや国の機関などで実際に使われた「若者の○○離れ」を一覧にしたもの。「新聞離れ」「結婚離れ」といった、確かに離れている若者が多いと思わせるものに加え、「ケンカ離れ」「暴力団離れ」「覚せい剤離れ」などの、それは離れたほうが良いのでは......と思わせるものまで、その数は無数にあります。


「若者の●×離れ」って言葉は随分と昔からあったんだよというお話。どうも図版が上手く使われていないせいか、冗長な感じもするし、データのあちこちはどこかで見たことがあるような気もするけど。まぁ、整理の意味も含め、一読するだけの価値は十分以上にある。

いくつか補足を。


・単純な流行り廃りを「若者の~離れ」としている場合。流行らなければ対象に消費をしないのは当然。「若者のスマホ離れ」が語られないのがよい例。

・過去と比べ実収入に対する非消費支出(税金や社会保険料など。実収入=可処分所得+非消費支出)の割合は増加中。直接税はむしろ減っていますが、社会保険料は4倍以上に増えています(1953年時点で非消費支出は実収入の11.4%、うち直接税8.5%、社会保険料2.4%。2017年ではそれぞれ18.7%、8.1%、10.6%)(家計調査より)。

・消費税の問題。1989年に3%導入、1997年に5%、2014年に8%。可処分所得全体では無く消費に対してのみですが、昔と比べて確実に消費を圧迫しています。

・消費をするのは将来への成長の期待があればこそ。失望すれば消費を抑えるのは当然の話。年上の人は成長を語り誘導する責務があるのですが。


「若者の~離れ」ってのは多分に詭弁だ、語る側にとって若年層が思い通りに動かないのを揶揄しているのだろうな、というのが持論としての総論。金銭的な余裕が無くなっているのは数量的に明らかにされているけど、それとは別に思った通りの行動をしないのは都合がよく無いから、忌避的な表現「若者の~離れ」を使ってしまおう、それを使えば語り側の責任、想定の違いは非難されなくて済む、というもの。例えば「少子化」も似たようなパターンで、昔からその傾向はあったにも関わらず、環境動向の変化に気がつかずに失策したのを、環境が悪いからと言い逃れているに過ぎない、的な。無論、加速化したから対応が間に合っていないってのもあるのだろうけど(出版業界も似たようなものかなあ、と)。

恐らくは明治維新以降、若者のちょんまげ離れという風潮もあったのだろうし、昨今では若者の固定電話離れとかビデオデッキ離れいうのもあるはず。それが問題視されないのは、語る側にとって都合の良いように使う機会が無いから(あるいは固定電話とかは関連業者が使っていたかもしれないけど)。

あとは金銭的な話に限れば、昔(どれだけ昔とするか、その基準はまた別の問題だけど)と比べて、将来的な成長の気運が見出し難いので保守的になってしまうとか、消費税やら「必需品」とされる物事のコストが高くなってるってのもあるのだろう。毎年給料が確実に上がっていきなり首になるリスクも低いってのなら、どんどんお金は借りれるし消費もできるけど、高齢者が揃って脱成長とかもっと自分達向けの社会保障を充実するために社会保険料払えとか大声上げている状況では、身構えてしまうのも仕方が無い。

加え、消費税って結構大きなダメージだよね、というのはある。物品税があった頃は贅沢品などに1割とか2割の税金がぼろぼろかかっていたので、その類のものには躊躇しがちだけど、日常生活品はその辺を考えずにそのままの対価で購入できたからねえ。そして贅沢品を買う時にはむしろ価格そのものがプレミアムというか価値になることも多分にあるわけだ(この辺も以前書いた気がする)。

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このページは、不破雷蔵が2018年5月21日 07:27に書いた記事です。

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