つまみ食い読みとその対策と

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先日記事にした「スマホの普及でますますつまみ食い文化が浸透している」という話をしたけど、それと連なるお話。元々文章を読むプロセスでは、文中の重要なキーワードを中心に読み通すという閲読スタイルが多かれ少なかれ誰にでも身についているのだけど、中にはそれが度を越している、文脈を容易に違えるレベルでやってしまう人もいる。スマホのようなざっと読み、限られた文章内で素早く読むことを求められるような媒体での閲読に慣れてくると、その傾向が強くなる。昔流行った速読もそれに近いやり方ではあったのだけど。

で、そのつまみ食い的な読み方において、自分が気に入らない、嫌悪したくなる、自分の思っている事を否定するような内容に関しては、深層心理的な部分で除いてしまう傾向が誰にでもある。それが一定領域を超えたレベルになると、いくら間違いを訂正するべく文書を出したり話を伝えても、上手くその意図が伝わらないことになる。

良いところ取りは自分を心地よくする一つの方法論かもしれないけれど、事実と違える情報を取得してしまい、それを信奉することにもなりかねない。「赤信号はみんなで渡れば怖くないというネタ話があるけど、あれは単なるジョークであり、赤信号は渡っちゃいけないのだからね」と伝えても、前の部分だけ認識して「赤信号は渡っていいんだ」と理解しかねない。そういう事がありうるから怖いのだな。


基本的にそういうことをやらかす人への絶対的な対策は無い。読むところは自分で決めてしまうのだから。次善策、保険的なものとして、極力短くして、読み飛ばしが無いようにするしかない。某ニュースでの「三行でまとめると」がよい例。


で、だな。これを悪用しているのが一部の報道媒体。「分かりやすいが正しいとは限らない」は繰り返している言い回しだけど、タイトルで、あるいは本文ですらも主旨を違えたり誘導する形で「事実として報じる」ケースが多々ある。今の報道の中の人たちが、意図的にやっているのか、技術が不足してこうなっているのかまでは分からないけど、どちらにしても失格レベルでしかない。


併せてこちらも。論説的な話はともかく、事実情報の伝達を成すべき報道で感情表現があった場合、少なくとも10歩ぐらいは引いて読み通した方がよい。感情表現には共感をしやすいという特性、魔力的なものがある。それを事実報道で使っている場合、書き手がその特性を利用して、書き手側の思惑に読み手を誘導しようとする思惑があるからね。

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このページは、不破雷蔵が2017年12月16日 07:18に書いた記事です。

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