昔と比べて食生活は豊かになっている、けどエネルギーの摂取量などは減っているのだよね

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先日から本家サイトで【主要栄養素等の摂取量をグラフ化してみる】などで紹介している、国民健康・栄養調査の話。比較的長期間の状況精査ができるのだけど、途中で計測方法が大幅に変わっているので、連続性のある値は直近数十年間に限られる。ただ、その期間で見ても、最近の値と前世紀末辺りとの間とでは、エネルギーをはじめとした各種栄養素の取得量の上で小さからぬ差異が出ている。増えているのではなく、減っているんだな、これが。

他方、国民健康・栄養調査ではなく、他の様々な資料を見る限りでは、食生活が貧相になったという話には首を縦に振ることは難しい。昨年あたりはこの値だけを元に、政府ガー、社会政策ガー的な声も上がっていたのを覚えているけど、どうもそういうことではないようだ。

で、可能性の一つとして挙げられるのが、今件ちょいとフォロワーさんに協力してもらった、栄養剤やサプリメントなど、スティックバーやゼリー状のチアパック形式による、食事の補てん方法(ウエハースなども加えておけばよかったと後悔)。実はこれらの類は国民健康・栄養調査においては、計測対象外となっている可能性が多分にあるのだな。

元々国民健康・栄養調査の取得栄養素の部分の調査は、回答者の思い出し表記によるもの。食べた直後に表記してもらったとしても、正確さの上ではやや欠けるところがある。ただ、正確性の上では今も昔も変わらないので、誤差が広がっていったという解釈は難しい。それよりはむしろ、今回取り上げた補助食品の類が反映されていないと考えた方が理解はたやすい。「特定保健用食品は、該当する食品群に含む」とあるけど、その一方で「強化食品及び補助食品からの摂取については把握しなかった」とあるからね。

補助食品などの市場は確実に増大している。これは関連資料をたどれば容易に裏付けもできるし、各店舗での取り扱われ方を見ても一目瞭然。今回の調査投票でも、栄養剤やサプリメントなどを利用している人が、当方の想定以上に多かったのを見ると、やはり食事の多様化に加え、過去の計測方法では取得し難いタイプの栄養取得方法が多々使われるようになり、計上しきれなくなっているのだろうなあ、という気がする。スマホが普及しているのに、従来型携帯電話しかカウントしていないような、そんな感じ。

無論、交通網の整備や生活用品の技術進歩などさまざまな生活環境の移り変わりで、運動量が減って、その分必要となる各種栄養が減っているってのもあるのだろうけど。あとは女性に限れば、やせのスタイルを好む傾向が強くなっているってのもあるのかなあ、という感はある。

まぁ、統計の上で推し量れるのはこのぐらい。もう少し時間とリソースを投入すれば、論文の一本ぐらいは書けそうだけどね。それは当方の本分では無いので、要検討課題のリストに加えるぐらいってことで。

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このページは、不破雷蔵が2016年11月21日 07:22に書いた記事です。

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