スマートフォンが生活必需品として認識される昨今

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先日のNHKの番組をトリガーに色々と論議を呼んでいる「貧困」の話。言葉の定義があいまいであるのに加え、番組制作側の無頓着というか無理解な構成、さらには反社会的集団が利用しようと息巻いて色々動き出してしまったので、本質的な部分が吹き飛んだ感はある。以前言及したけれど、金銭的な不足感よりむしろ、情報・知識的な不足感の充足を積極的に推し進めるべきではないかな、少なくともこれまではその方面の切り口での施策がほとんどなされていなかったし......というのが自論。まあこれも多分にケースバイケースなのだけど。

で、それらの話の中で、スマートフォンを持っているのならば貧困では無いとする意見があり(これはいわゆる「難民」問題でも取り上げられている)、他方、現状ではスマートフォンは生活必需品でありライフラインと同様で、それを奪われるのは呼吸をするなというのと同じだとの意見もある。スマートフォンを利用する場合、初期投資単価はともかくとして、月次の利用料金は格安スマホを用いてもやはり数千円位は必要で、プライベートな端末であることを考えれば、単純計算で世帯人数分が計上される。小さくない負担には違いない。従来型携帯電話にすればもう少し抑えられるけど、メールや一部のサービス以外では難儀するのは必至。先の「notスマホ」的なことになる。

その人の生活様式と覚悟にもよるけれど、ぶっちゃけると高齢者の中では多分にスマホを持っていない人もいるし、若年層や中堅層にもスマホを有していない人は少なからずいるので、国民皆スマホってわけではないのだけど、必需インフラに近い存在との意見を否定する事は出来ない。持っていないことをなじることはできないけれど、持っているのがほぼ当たり前な時代。携帯電話が普及浸透する前の、腕時計を持っているか否か......みたいな感じかな。

と、なれば、先の軽減税率周りの騒動の際に、文化だからとの主張以外に、「大勢の人が持っている生活必需品」「情報伝達を行う上では欠かせない存在」として優遇を殊更に求め、それが果たされそうになった新聞は、すでにその立ち位置には無く、いやあったとしても相対的順位は少なくともスマートフォンより下にあるのではないかな、と思う次第。思い返してみれば、今件騒動で語られているケースにおいて、新聞を取っているか否かってのは、まったく話題に登っていない気がする。

恐らくはそう遠くないうちに再び軽減税率周りで新聞界隈が「自分達は文化で情報伝達を不特定多数に向けて行うために欠かせない存在だから優遇しろ」と主張をしてくるに違いない。その時にはまた、色々と考えさせられそうだ。

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このページは、不破雷蔵が2016年8月29日 07:00に書いた記事です。

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