観たいのはテレビ本体じゃなく番組、欲しいのはその番組で得られる楽しさ

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先日テレビの買い替えをした世帯の割合動向を掲載した関係で、ちらほらとテレビの需要やら買い替えに係わるデータを見直す機会を得た。で、ちょっとしたデジャブを覚えて、ああこれはゲーム機やビデオデッキと同じ構造だよな、的なことが頭の中で連結する形で想起されたので、ちょいと覚え書き。

結局テレビを買う人、買い替える人は、新しいテレビ本体そのものを観たいわけじゃない。オーディオファンやカメラファンの中には、そういう類の人もいて、それはそれでありだと思うのだけど、圧倒的多数の人は、その本体で得られる環境が欲しい。テレビならば番組を観たいからだし、ゲーム機ならばそれを使って遊べるゲームで遊びたいから。「ドラクエはこの機種でしかできないからこのゲーム機を買う」「このアプリはiPhoneだけで展開されているからアンドロイドOSのスマホは買わない」といった感じ。指摘もあったけど、パソコンやOSとソフトの関係もまさにそんな感じ。使っているアプリケーションが動けば良い。

で、思い返してみると、今のテレビには買い替えを積極的にする要素がない。番組が数倍面白くなるわけでは無く、受信できなくなるものでもない。昔のように、地デジに切り替わるから仕方なくとかいう話は無い。引越しの際に面倒だからとか、故障したから仕方なくという例はともかくとして。


厳密には指摘の通りで、番組を観たいとの欲求も、その視聴で得られる経験を望んでいるから。その場で楽しんだり、リアルタイムでテレビに関する実況に参加したり、見た内容を翌日友達と話すためのネタにしたり。人間の欲求がどこにあるのか、そしてそれを満たすために人はどのような選択を成すのか。そこまで考えることが、商品開発などでは求められる。


最近のテレビ出荷動向では小型の数が思いっきり減退している。テレビの買い替え、新規買いをするのなら、大きな方が高値で売れるし、利益も増す。まぁ、テレビの寿命自身が伸びて、ちまちま買い替えるならば最初から大きめのを買った方が良いとか、サイズに比した価格上昇ではないので大きな方が割安になるように見えるってのもあるのだろうけど。

昨年位まではCATV周りの切り替えで特別な買い替え需要が発生したけれど、その時は「テレビは観られればいいや」的な人が多かったので、指摘されている小型・中型が良く売れた。その需要も食いつぶされた感はある。そして新規購入の需要が見込める若年層は、テレビ離れが進んでいる。これではテレビの需要、特に小型から中型のものの市場が縮むのも仕方がない。

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このページは、不破雷蔵が2016年5月16日 07:04に書いた記事です。

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