世の中は大きな力で動いてる、でもその多分は「見えざる手」なのね

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ひとが二人以上集まれば対立軸が生じ得るしグループは形成されるし意見の相違は生じ得る。そして似たような意見を持つ人が同じ行動をすれば、はたから見ると事前に打ち合わせをしたように見えない事も無い。また実際、その推測通りのこともあるだろう。さらにいえばスタンピード現象のように、他人の行動が個人の行動の後押しをするケースも多分にある。周囲のノリに押される形で、とかいうやつ。

ただし人の行動やムーブメントは多分に、結果論としての集約行動としてのもの。経済学でいうところの「神の見えざる手」。ただそれって概念的には理解しにくいし、理解したとしても納得するのは難しい。概念的な把握ができればいいのだけど、こればかりは訓練と経験と生まれつきの性質次第。個々の人格の相違があるにも関わらず、何で誰の強制にもよらないのに一定方向に動いていくのか、そんなはずはないと考える人は結構いる。

一方で、「何か巨大な意思を持つ個人や集団があり、その思惑に従って世の中は動いている」とした方が、理解はし易いし納得もできやすい。そして実際にその仕組みで動いているものもある。例えばファッション業界の「色のトレンド」とかね。

ただしこの「誰かの思惑で世界が動いている、動かされている」ってのはごく少数のケースで、条件もがっつりと揃っていなければならない。そして偶然のパラメータは無限に存在しうるので、そのような思惑は多分にあるけれど、それが思い通りにいくなんてことは滅多にない。あればそれこそ計画経済の上で世界は永続的に発展しうる。

例にも挙げているけれど、人々の行動理念や損得勘定の判定の結果、同じような行動が多分によって成され、状況の変化が生じると、それを「誰かの指示で、陰謀で」と見た方が説明はしやすい。「仮面ライダーBLACK」における「ゴルゴムの仕業」など、物凄く良くわかるパターン。「天狗の仕業」でも「妖怪の仕業」でもいい。


ゴルゴムは物語上の実在組織だけど本当には存在しない、天狗や妖怪は当時の人にとっては「いたかもしれない存在」ではあるけれど、昨今では実在する対象を「支配的立場」にあるものとして位置付けて、それの仕業とする向きがあったりする。その方が理解しやすいし、人の注目も集めやすいし、統率をしやすい。「何かが攻めて来るかもしれないから守りを固めようぜ」よりは「オオカミがやってくる気配があるので厳重に備えよう」とした方が緊迫感はあるし同意者も多くなる。「震度8の地震に備えて対策をしまくろう」というのも似たようなものかな(無論、気象庁震度階級は震度7までで8は存在しない)。

分かりにくい状況の時には、人はどうしても不安になる。対象がネガティブなもの、あるいはネガティブになり得るものならなおさら。だからこそ人は分かりやすいものを求めたがり、その分かりやすいものを正しいものと信じ込んでしまう。その方が気が楽になるから。偽薬効果と似たようなもの......と表現するのは軸がずれているかもしれないけど。

「分かりやすい」と「正しい」は別物。そして往々にして「正しくないもの」は「分かりやすい」を隠れみのとして人々の心を引き付ける。自戒も合わせ、気を付けねばならないことは言うまでもない。

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この記事について

このページは、不破雷蔵が2016年5月 6日 07:50に書いた記事です。

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