欧州委員会いわく「300万人の難民で経済は成長して財政状態の改善につながるヨ」との話、だけど......

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欧州委員会は5日、欧州連合(EU)加盟28カ国に関する経済見通しを公表し、2017年までに300万人の難民が域外からEU加盟国にやってくると見込んだ。難民が社会の中で労働力として融合するならば、EUの経済成長を押し上げ、長期的には加盟国の財政状態の改善につながるかもしれないとしている。


受け入れた難民が、受け入れ国の国民と同じレベルの技能や職能を持っているとすると、EUの域内総生産(GDP)を16年に0.21%、17年は0.26%押し上げるという。

難民が低い水準の技能や職能しか持たない場合は、16年で0.14%、17年で0.18%の押し上げにとどまる。


シリアをはじめとした中東地域の混沌化で生じた多数の移民・難民が一斉にヨーロッパ、特に旧西側諸国に押し寄せている件。あまり指摘されていないけれど、結局これも、いわゆる「紫陽花革命」の結果なんだろうなあ、という話を念頭に置いた上で。

この類の話ってのは、出した側が欧州委員会であることから、初めに結果ありき的な部分が結構ある。仮にネガティブな予想が出ようものなら、状況は一気に悪化することは誰の目にも明らかだからだ。元記事ではあっさりとしか書かれていないけれど、それのみでも前提があまりにも楽観的すぎる。


こちらが欧州委員会の一次資料......ではあるんだけど、どうも斜め読みした限りでは明確な根拠の上での数字とはいいがたく、多分に希望的観測、楽観論の山積みで想定された値としか読めないんだよね。あるいは使いやすい数字のみを用いており、状況の急激な変化に伴い発生しうるさまざまな社会問題への配慮がなされていない。もちろん欧州諸国が元々移民には比較的寛容であるとの前提を差し引いても。昨今の債務危機で、その辺りを許容する体力と精神的余裕は、随分と失われている。しかも今回は短時間に大量に過ぎる。少しずつ嫌いなピーマンを食べるよう努力してきた子供に、バケツ一杯のピーマンを5分以内に全部食え、と急かすようなもの。

まぁ、予測、推測の類はどのようにやっても自由ではあるのだけど。その根拠があまりにも的外れだったりすると、後々全体としての信頼性を損ないかねないんだけどなあ......IMFの緊縮財政周りの話が良い例だけど。

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このページは、不破雷蔵が2015年11月 7日 08:29に書いた記事です。

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