単行本と古本と電子書籍と。

| コメント(0)


文章を書いている人にとっては、自分の意志が込められている文面を一人でも多くの人に読んでもらえるのが一番うれしい。自分の想いを、自分の片割れを、多くの人が取り込んでくれることで、自分が生きている証を体感できるから。一方で、完全な趣味趣向・道楽として文筆が出来る人はともかく、絶対多数の人はその執筆行為を何らかの形で食い扶持としている。タダ働きはブラック企業の促進でしかない。コンテンツの盗取はブラック企業を応援しているのと同じだよ。

で、書き手の立場として、新書と古本と電子書籍における推挙に関して、色々と複雑な気分になるという話。新書が手に入ればそれを調達してくれれば一番うれしい。古本でも......まぁ、知ってくれるのならとの観点では嬉しいことに違いは無いけれど、それって作者自身には直接のリターンは何もない。知られたってことだけ。いわば新規顧客の開拓がなされ、今後新作を買ってくれるようなファンになるのならいいけれど、その一冊で終わってしまったり、今後も古本で云々ってことになると、正直めげる(時折話題に登る、違法・不法コピーによるファイルダウンロードは問題外。でもちらほら見聞きするのだよね。その類のダウンロードファイルで読んで「面白かったです」的な感想を作者自身に投げる人が)。

紙媒体本が手に入りにくい場合が増えてきたってのは分かる。ただ、電子書籍版が展開されているのなら、できればそちらで調達してほしい。それならば実リターンも作者側に届くから。


偶然にも似たような話はこちらでも。金銭周りの話が以前と比べて増えてきたのは、それだけ販売実績が落ちてきて厳しくなっているのと、色々な方面の声が届きやすくなる時代となったのだな、という感はある。古本の場合は資源の有効利用、古本業務の業界の活性化との点ではプラスになるけれど、その大本を創り上げるコンテンツ制作側にはプラスにならないどころがマイナスとなる。昔のような出版・書籍市場ならともかく、現在のような状況では、古本の立ち位置も変化を遂げる必要があるのかもしれない。

紙媒体版と電子書籍版の価格は、出版社や編集部レベルで違いがあるので、一概にこの話が当てはまるわけでは無い。電書籍版と紙媒体版の定価が同じってこともあるからね。ただ、安めに設定されている場合には、上記の例のように、古本を買うのならば電子書籍版を買う方がオススメって事に違いは無い(経験則から言うと、昨今の古本って市場の回転が悪くなったからなのか、大昔の廃棄直前のものならともかく、新中古的なものとか結構メジャーなものって、定価からの割引率がさほど大きくないんだよね。電子書籍版はその辺りのリサーチをして、絶妙な価格設定をすればいいと思う)。

ちなみにこれはごく一部の例なんだろうけど、紙媒体版よりも電子書籍版の方が、作者に入る印税率が高い事もある......らしい。作者を応援したい場合、電子書籍版の優先順位を上げるってことも覚えておくとよいのかな。

関連記事             

コメントする

            
Powered by Movable Type 4.27-ja
Garbagenews.com

この記事について

このページは、不破雷蔵が2015年9月 8日 07:25に書いた記事です。

ひとつ前の記事は「「ロックダウン」が「とにかく逃げろ」に変わったという話」です。

次の記事は「「民主主義が機能してなくて選挙制度が意味をなしていない」「独裁だ」との意見を目にして」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

* * * * * * * * * * * * * *


2021年6月

    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30