フランスが原発依存度を50%に引き下げるとした件

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ランス議会下院は22日、2025年までに原発依存度を75%から50%に下げることを柱とするエネルギー移行法案を可決した。


上院は既に通過しており、これで約1年間の審議は終結。世界有数の原発大国は、原発の削減に踏み切ることになる。


......ということで【主要国の電源別発電電力量の構成をグラフ化してみる】にもある通り、電源別発電電力量では3/4ほどを原発で行っているフランス。電力の他国への販売も国家戦略的に行っているため、いわば国策的な動きではあったのだけど、それを今後2025年までに50%へと引き下げるとの話。

ただ、原文は見つからないし、見つかったとしてもフランス語で読めないのでお手上げではあるのだけど、英語資料の限りで調べていくと色々と首を傾げるところも。

フランスの送電事業者RTEが2015年1月に発表した2014年の電力需給に関する報告書「2014 Annual Electricity Report」によれば、同国の主要電力形態における発電量比率は次の通りです。


原子力...77.0%
火力...5.0%(うち石炭1.5%、石油0.8%、ガス2.7%)
水力...12.6%
風力...3.1%
太陽光...1.1%
その他...1.2%(うち再生エネ0.9%)

また発電能力(フル稼働時)比率では

原子力...48.9%
火力...18.9%(うち石炭4.0%、石油6.9%、ガス8.0%)
水力...19.7%
風力...7.2%
太陽光...4.1%
その他...1.2%

となっています。2014年は景気低迷・省エネ浸透・温暖気候により電力需要が大幅に低下しており、これが発電量比率における火力や水力などの低下の原因となっています。

(つまりすべての発電所がすべてフル稼働すれば、すでに5割を切っているのですよね。2014年は電力需要が小さかったので高コストな発電様式が使われず、相対的に原発比率が高まった次第。他の様式のコストダウンを図って、そちらの利用を増やすのかしら??)


これは上記記事にコメントしようと下書きしていたのが、諸事情で没になったもの。発電能力量ではすでに原発は5割を切っているけれど、貯蓄ができない電力では、需要に合わせるために供給=発電量を調整する必要がある。で、採算性の悪いものは抑えられ、良いものを優先して用いて発電しているため、原発由来の電力が3/4などになっている次第。

これを1/2にまで抑えるってことは、まぁ古いものは閉鎖するんだろうけど、それを差し引いても採算が取れそうな新タイプの火力を創ったり、再生エネを増やすことになる。ただ、ドイツやスペインの例を見る限り、現時点の技術では再生エネは採算の上ではアウトに近いし、火力はどこまでコストを抑えられるか疑問視される。ガスが安く入手できれば可能になるのかな。

ともあれ、発電可能量と実発電量との差異は、しっかりと覚えておいた方がよさそうだ。......これ、下手すると今まで以上にフランスの経済がぐだぐだになりそうな気がする。

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このページは、不破雷蔵が2015年7月24日 07:19に書いた記事です。

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