なるほど「Twitterで流布するセンセーショナルなTVのキャプチャ画像には証拠能力はまったくない」

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先日も某事案で本物の中継映像のキャプチャに、いかにも本物っぽいニセの字幕を合成し、その字幕の内容を当事者が語っているように見せかけた画像がツイッター上を乱舞したのが確認されている。一次製作元が特定できなかったので、その画像が製作された過程ではニセモノであることが明記されていたり、ネタそのものであることが分かり切った場での疲労だった可能性もあるけれど、画像のみが独り歩きし、事実のような言及が成されてしまった次第。

【動画を使った権威づけによる偽装事例】をはじめ多数の記事で言及しているけれど、「動画は静止画と比べて本物っぽいフェイクを作るのは難易度が高い。だから動画は一律信頼度が高いと思ってしまう」「動画からの抽出画像のように見せると、事実と無条件で信じてしまいがち」「ツイッターではざっと見する事が多く、しっかりと内容を精査せずに判断してしまう(電車のつり革広告みたいな感じ)」さらに「画像の加工技術が上がっている」などを受け......というか悪用する事例が増えている。その上、「動画もキャプチャも事実だけれど、時期が違う」なんていう、複雑なフェイクもあったりする。

結局キャプチャの画像が流れてきても、最低限その動画自身を探して精査しないと、それが事実であるか否かが判断できないことになる。該当する事象の議事録や報道内容で裏付けをしても良い。でもその辺は面倒くさいし、そこまで考えずに信じてしまったり、他人に伝えてしまう。ややこしいことに、取得した人、第三者に伝える人はニセモノだと分かっている、ネタだと認識した上で広めても、受け取った人が事実だと誤認してしまうパターンすらある。


結局は、より低リスクに抑えるために、真偽そのものを放り投げる、見なかったことにするってのが一番になる。調味期限が怪しくて食中毒になるかもしれない美味しいお菓子は、手を付けずにゴミ箱行きにするのが一番低リスクってのと同じ。さらに、そのようなものを意図してか、無視行きのうちにか、好んでリツイートして伝えてくる人に対し、情報を遮断してしまうってのも一つの手。

今件に関しては、情報そのものが蓄積され後々まで残り得ることを考えると、一度否定されたフェイクが再びリサイクル的によみがえるってことがあるので、状況はより深刻な感じがする。テロップ加工技術の進歩はここ数年のように見受けられるので、今後過去のネタがぐるぐる回される可能性は結構あるんじゃないのかな。そしてそれが漸次増えていく、と。困ったものだ。

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このページは、不破雷蔵が2015年6月19日 06:48に書いた記事です。

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