「リセット技」なる言葉が通用しない時代

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スタンドアローン、一人でプレイするタイプのゲームではよく使われたリセット技。直前のデータをセーブしておいて、何らかのイベントを実施し、良い結果が出なければリセットをかけてデータを再読み込みしてやり直すというもの。おみくじで良い結果が出るまで何度も引き直すようなもので、確率論を無視した結果で先に進むことになりかねないので、ゲームの開発提供側としてはあまり好ましくない話ではある。まぁ、でも例えば人生そのもので、受験前日にセーブをしておいて、試験を行い落ちたらリセットして、セーブした場面に戻ってもう一度なんて事が出来たらいいよね、みたいな。

でも今は少なくともプレイヤーの数で考えてみれば、スマートフォンのアプリでゲームをする人が多分に及んでいる。そしてアプリゲームの大部分はこのリセット技が使えない。使えるとしても指摘の「リセマラ」、つまりリセットマラソン位。

「リセットマラソン」ってのはアプリの最初の起動時にボーナスとしてゲットできる特別アイテム的なものについて、その内容が気に食わなかった場合、アプリを削除して再度インストールし直して、もう一度「最初の起動」を行うというもの。そのやり方がマラソンのような感じなのでリセットマラソン、つまりリセマラと呼んでいるらしい。なんだかいかがわしい語感。

で、指摘の通り、普通のリセット技はほとんど行われなくなったので「人生がリセットできると思っている子供が多い」ってのはあまり見受けられなくなったはず、だけど、代わりにリセマラが多用されるようになったのは皮肉な話。これでは所謂評論家的な人達は「今の若者は何か上手くいかないことがあると、初期設定が悪い、もっと裕福な家に生まれれば良かった。リセマラをしなければ、と思うに違いない」とか言い出すかもしれない。


リセットマラソンは基本的に防ぎようがない。端末ベースで初期起動回数の制限をかけたら、一度ゲームを止めてその後復帰する人をもはじいてしまいかねない。作り手側でも「最初の一回ぐらいは許容してもいいかな」「リセマラで可能性の上での上限値に近いスタートを切っても、ゲーム進行にはさほど変化はないようにしちゃおう」的な考えを持っているだろうから、さほど問題視はしてないかな、と思ったりもする。

まぁ、でも。ずるい話には違いないよね。

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このページは、不破雷蔵が2015年5月18日 07:03に書いた記事です。

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