円高・円安と産業の話、数年前の1ドル80円台ってのは超異常だった

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アメリカのQE3終了宣言と日銀の追加金融緩和政策の実行発表で円安が進んだことに絡んで、色々と為替レート周りでお話があり、参考になればとのことで挙げた記事の図版。1990年代の円高の時にはドリフターズの番組で寸劇のネタにもなったという話も以前資料で見たけど(確か泥棒にふんしたドリフの面々が金庫の中にあるドルを見つけて、「円高だからドルは要らん、円はどこだ?」的な話をしたのだとか)、その時期以上に円高は進んでいたわけだ、ほんの数年前の狂乱的な円高の時には。

で、その頃の超絶円高や、その前の為替レートの状況をすっかり忘れて現状を過度の円安状態にあるという雰囲気がちらほら見受けられているのを受けてのお話。


個人でモノを買う場合にはお店で国産品を選ぶか輸入品を選択するか位で済むけれど、企業の場合は規模も大きくなるし、生産拠点の移動となればお金も時間もかかるので、円安になったからホイホイと国内に戻りましょうとすぐに出来るわけじゃない。自転車で移動は楽にできても、引越しをそれこそ毎月のように行えないのと同じこと。

だから今の状態ですぐに判断をして工場移転とかはできず、様子を見なきゃならない。為替が安定しないと、環境の変化に関する意思決定は出来ないんだよね。


まさにこの「苦い薬」の例えが言い得て妙。世の中って大きいのでタイムラグが発生する。それを理解できてないと、勘違いをしてしまうことになる。

「円高」っていうと自国の通貨の価値が上がるから、とてもよい事のように思える。ただ、極端な状況がゆがみを生み出すのはどのようなものでも変わらないし、自国の通貨価値が上がるのは良いけど、それを稼ぐのにはどうすればいいの? とまで考えると、円高がメリットばかりではないことも分かる。まぁこの辺りは以前【円高になるとどんな良いこと・悪いことがあるのか再確認してみる......】あたりでも触れているのだけどね。

ともあれ。今の状況は「過度の円安」ではなく、数年前の旧に復した程度であるってことには違いない。一方でちょいと前の過度の円高状態によって姿勢の変更を余儀なくされた方面が、再び腰を上げるまでは辛い状態であることにも変わりはない。すべての人がハッピーという状況は存在しえないのだけどね。

まぁアレだ。極度の円高の際に日本との関係で為替差益で大もうけをしていた国が、現在ではちょっと昔のレートに戻っただけでひーひーしている状況を見るに、日本はそれだけババ引いてたんだなあ、ということも分かるのが、興味深い話ではある。

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このページは、不破雷蔵が2014年11月17日 06:54に書いた記事です。

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