「嘘をつくのは低コスト、嘘を検証するのは高コスト」非対称性の宇宙大原則

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震災以降特に目立つようになった話ではあるし、【「徴兵制」「軍事大国」「若者が前線に」...分かりやすく目立つ言葉で釣る、煽動とセンセーショナリズム手法】でも触れている通り、ある意味広告手法的な、感情論に訴えて事実や論理的なものを吹き飛ばして台無しにしてしまう嘘の類。「平気でうそをつく人たち」にも出てくるような、嘘を社会通念上の嘘としての認識すらできず、むしろそれを正当化すらしてしまう人が目立つようになると、この問題は大きな頭痛のタネとなる。

嘘をつくのは低コストですむし、裏付けが要らないので(本物っぽく見せるおぜん立ては必要だけど)、いくらでも連発できる。一方でそれを検証し嘘が嘘であると検証して否定するのには、結構なコストがかかる。しかもその嘘を否定できたとしても、大抵は検証・立証した側には何のメリットも無い。盗み食いをした側はタダで空腹感を満たせるけれど、その盗み食いを立証したところで食べられた料理は戻ってこないという感じ(代金を要求しようとしても支払い能力が無ければアウトだし、仮に払ってもらえたとしてもそれが無二の造形だったりしたら......)。

結局無駄骨になるので、大抵は嘘をつかれた側は泣き寝入りになるし、それを知ってか知らずか嘘をつく側は繰り返し嘘をつき、自分の土台を固め、底上げしていく。そして嘘をつくことこそが自分にとっての真理だと学んでしまう。なるほど理解はできる。人間は学習する動物だからだ。

無論その状況は嘘で構成されているため、ついた本人にはプラスとなるかもしれないけど、社会全体にとっては非常に大きなマイナスとなるのは言うまでもない。


ただしそういうことが繰り返されると、接触自体がやっかいなことになることを周知されてしまうので、大抵が距離を置くようになる。

一方で上記では「極稀に執拗に嘘を検証する奇特な人」とあるけど、これは単に検証をする際の損得勘定に「一般的な損得以外の何か」が加わり、天秤が下がった場合。例えば自分のライフワークに関して否定的な話が嘘として出されたり、トラウマ的な内容だったり、幼いころから疑問に思っていた話だったり、とにかく従来の物差しを取っ払ってでも検証に値すると判断したもの。そういう人が検証を続けると、嘘をつく人にとってはイレギュラー的な存在となるので、異様なまでの反発をするようになる、と。

ただ、検証して否定するのが高コストで割に合わないからと放置される状況は、多くの人に被害が生じることになるので、決してよいものとは言えない。「狼少年」の話における、少年の虚言に騙されて右往左往される村人の話のようなもの。「狼少年」では最後に本当に狼が出てきて嘘をついていた少年に天罰が下ったことになるけど、実際にはなかなかそういうことは起きないんだよね。

そして「狼少年」のように、自分が嘘をついている、悪いことをしているという自覚が薄い、あるいは無い場合もあるってのが、昨今の「嘘をつくのは低コスト、嘘を検証するのは高コスト」における問題の一つでもあったりする。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月13日 08:00に書いた記事です。

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