「統計的には少年犯罪数は減ってる、むしろ団塊世代の方が犯罪率は高い」と事実を語ると嫌な顔をされるという話

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加害者側の特殊事情により報道熱がグンと下がり、色々な方面での憶測が出てくることになった、神戸の事件。犯人がネットを利用していたこともあり、いつものごとく犯行理由として現代社会のゆがみやネットゲームをはじめとした仮想社会でのやりとりに問題があるとか、周辺環境との断絶・コミュニケーションの希薄化が問題なのではないかとするコメンテイターや専門家(!?)の言及が相次いでいる。まぁ、ぶっちゃけるとこういう説明をすれば視聴者や読者は(それが正しいもので無くとも)納得がいくから、「与えてほしいものを与えただけだ、ヒナにエサをやるようなもの」という心情があるのかもしれないけど。

しかしエサにされた方はたまったもんじゃない。

実際指摘にもある通り、数字の上で凶悪犯罪は減少の一途をたどっている。社会秩序の整備や警察機構の努力、情報伝達の高速化など、さまざまな観点で過ごしやすい環境になってきたから。「三丁目の夕日」ブームであの時代への回帰が流行ったけど、あの時代の犯罪率やら社会情勢を調べると、あれがあくまでも一表面を表したものにすぎないってのが分かる。このあたりは交通事故周りの報道も変わらないんだよね。交通事故も確実に減っているというのに(ごく最近では自転車関連の事故も同じようなモノか)。


結局、「最近物騒になった」という言及は厳密には「最近物騒になったように思えてくる」ってのが正解なんだろうな。情報の取得が容易になり、しかも雑多な情報が入ってくる。同じ町の事故だけでなく、同一都道府県、さらには日本中のそこかしこで起きる事件や事故の情報が、まるで自分の隣近所でおきているかのように毎日伝えられる。事故や事件に囲まれた形で生活しているように思えてしまう。そんな事件や事故は昔から、むしろもっと多く起きていたのにね。単に自分の耳に入らず、目に留まらず、知らなかっただけに過ぎないのが実情。物忘れではないと思うんだな。

恐らくは今後とも、若年層の特異な犯罪や、加害者がネットやマニア系の趣味に走っていたことが明らかになったりするたびに、こういう話は繰り返されることになる。そして統計的にはむしろより注力を払ってチェックをする必要がある団塊の世代にとって聞き心地の良い、統計的な実態を無視した論説が語られることになる。機会があれば一度統計をひっくり返して、それこそ自動車事故や自転車事故の話のように、まとめておくのもいいのかもしれないな......。中長期的な公的統計資料があるといいんだけど。

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このページは、不破雷蔵が2014年10月10日 07:54に書いた記事です。

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