御嶽山の噴火現場に遭遇した人への取材攻勢を見て

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【人が命がけで避難している最中に取材を申し込む方々】


先日の御嶽山の噴火に際しては、事前兆候がほとんどなかったこともあり、噴火当時に多数の登山客が居て、その現場の様子がツイッターなど経由で多数の画像、そして一部は動画でも伝えられ、一般報道よりソーシャルメディアにおける情報伝達の方が早いという事態が生じることになった。一億総カメラマン・報道記者とも言われているけど、スマホなりデジカメなりの浸透ぶりが改めて......というところ。

そしてそれらの現場体験者や写真などを撮影した人たちに向けて、一斉に新聞やテレビの報道公式アカウントが取材構成をオープンチャンネル経由で申込み、その情景が第三者にも自由に閲覧できることから、色々な意見が挙げられ、物議をかもしているという話。

「当事者が落ち着いた状態にしてから」という意見も一理あるけど、それがいつになるのか分からないし、他社がやっていて自社がやらないと先を越されるという競争意識もあるから仕方がない感は否めない。

一方で、着信側が読む環境・時間を自由に選べるメールではなく、ソーシャルメディア上のリプライで連絡をしようとすると、着信側の着信チャックに多分なノイズが混じり、欲しい情報が見つけにくくなるという難儀な点もある。さらにリプライ関連を逐次確認するタイプのアプリを使っていると、リプライを受けた時点でシグナルが発せられ、電話を受けたかのようにチェックをせざるを得なくなる場合もあるだろう。そしてさらにいえば、一連の行動が電話や直接の応答では無く、このような形でオープンな状態で行われることにより、俗にいう「メディアスクラム」的なものが容易に可視状態になることも、報道側はあまり考えていないのも問題かもしれない。

良し悪しは別として、色々と考えさせられる事案には違いない。今件はまだ当事者が無事だったからまだしも、何らかの形で不幸が生じている事案で、同じような事態が発生する可能性も多分にある。そのような場合でも同様に......ということを考えると、ね。

少なくとも日本でソーシャルメディアを介して文章だけでなく画像や映像までもが、報道的な内容としても十分価値のあるレベルのものとして流され、現場の人の生の声を知ることが出来るようになり、既存の報道がそれらの情報を取得利用したいと考えるようになったのは、ここ数年のこと。多分にスマホの普及によるところが大きいんだけど、前例がほとんどないだけに、しっかりとしたルールや倫理観的なものが定められてないのよね。で、そのような場では、得てして直接な、短期的な、目の前の利益が優先されてしまうので、今回のように周囲からみたら顔をしかめるような人も出てくる状況になる。一般の取材ルール同様、ネット上でのアプローチもガイドライン的なものを明確に設ける必要があるんじゃないかな。

海外ではこういう場合、どのような対応をしているのだろう。YouTubeなどではテレビなどで映像を使う場合は連絡をこちらに云々という形で、連絡先が書かれていることが多いのだけど。

閑話休題。


これはアウトに近い。少なくとも当方はそのように判断している。いくらていねいな言い回しをしても、当事者に自分の運営している場所までアクセスして、さらには何かを語ってくれというのは、一体どういう了見なんだろうか。しかも調べてみると、一連の御嶽山関連で何らかのツイートをした人に対し、片っぱしからスレッドにアクセスしてコメントしろ的なことをしている。「報道部」とは名乗っているけどねえ......。

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このページは、不破雷蔵が2014年9月28日 07:02に書いた記事です。

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