それ自身は問題視すべきだが...都議会暴言と防衛副大臣の銃口問題

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先日東京都議会で発生した、女性議員への「お下劣」と評しても問題の無い野次事件。これについて各方面から問題追及の声が上がっている。議会を実際に傍聴したわけではなく、その場の雰囲気や完全な前後関係を把握しているわけではないけれど、各方面から伝えられる話、いわば被害者的な立場にある議員の説明などを総合する限りにおいては、問題追及をされても当然のレベルに達している内容だといえる。少子化における多様な弊害が問題視される昨今において、その問題に関する言及の際に向けられた野次となれば、なおさらの話。

ただ、今件に関して「議会中の野次だから」「内容が酷いから」問題追及をして何らかのペナルティを与えるべきという論議が進むと、別の問題が発生しうる。「確かにそれは正論。議会は清々粛々となされるべき。野次の内容が酷いならばなおさら」「ではどこまでが『問題追及をすべきものなのか』『追求する・しないの線引きは誰がどのようにして行うのか』『その線引きが正しいもの、適切なものであるか否かの判断は誰がするのか』」。明確な答えが出せるだろうか。あるいは当事者、第三者が指摘したものはもちろん、それ以外のものもすべて、過去の事例は逐一検証し、徹底的に精査し、同様に問題追及をしなければならない。そうでなければ、ダブルスタンダードだ、基準のあいまいさの悪用だ、という指摘もなされてしまう。

中には「都議会にせよ国会にせよ、公的議会における野次を一律禁止すべき」という意見も出てくるほど。もっともこれはこれで、別の問題が生じ得るので、難しいだろう。同じように「どこまでが野次で、どこまでが意見の主張か」という線引きが難しくなる。

似たような「線引き」の話は、先日の防衛副大臣の国際展示会「ユーロサトリ」での行動に対する見解、報道にも当てはまる。同氏が行った訓練用ゴム銃の取り扱い方(引き金に指をかけたまま銃口を他人に向けてしまい、それを制するために払いのけられた)に対し、これはマズいという指摘が多方面からなされている。


該当部分は2分50秒あたりから。指摘の通り、実物であろうと玩具であろうと模型であろうと、銃口を他人に向けるのは敵意の表れと受け止められても仕方が無く、ましてや本物との誤認可能性を考えれば、危険極まりない話に違いない。非難を受けても当然の話。ただし今件も報道されているのは銃口を向けた直前から制止されて銃を置く直後の場面のみで、その前後関係が明らかにされておらず、行為のみが独り歩きしている。行為自身はともかく、前後の状況によってはもう少し判断を異にする結果が出てくる可能性はある(カメラマンが多数周囲に控えていたことから、訓練用ゴム銃の使用状況を模倣するためにポーズを取った可能性すら考えられる)。

ただし、これもまた、銃に関して一定以上の知識があれば、の話。指摘されれば「確かにその通り、間違いない」とうなづくばかりだが、すべての人が事前知識として常にその心得のもと、活動できるわけではない。【「自分が知ってるそのことを 相手が知っているとは限らない」...ネット上の「暗黙の了解」の明文化】にもある通り、自分の常識が他人の常識であるとは限らない。

「防衛副大臣ともなれば、銃に関する暗黙の了解など知ってて当然」という意見もある。それも一理ある。しかしそれをそのまま是として通してしまうと、農業関連の大臣は農業に長けている必要があり、国土交通大臣はあらゆる自動車、鉄道の種類を把握し、運転できる必要が生じる。それこそネット上のジョークではないが、タレントグループのTOKIOこそが、大臣にふさわしいという話になってしまう(それはそれで一興だが)。

また大臣に限らずとも、経済・金融を語る場合には財務会計に長けている必要があり、エネルギー関連を語る際には、エネルギーにおいて正しい知識を習得していなければならない。内部留保をすべて現金であると、パイプラインで輸送されるガスとタンカーで運ばれるLNGの買取価格が同額で無ければおかしいと、ドヤ顔で語る議員諸氏はすべて資格を疑問視されねばならない。

恐らくは今件2事例は偶然だろうが、「事案そのものは問題視されるべき」「前後関係が明確に精査されずその場面のみがショッキングに伝えられ問題が焚き付けられている」「過去の事例や類似同レベルの事案まで同様に検証しなければダブルスタンダードとなる(見方を変えれば「今件『のみ』が突出した事案なのか」の検証が必要になる)」という点で共通している。切り貼りのみで全体像がぼやけている感という点でも似ている雰囲気はある。今後、各種反応から、色々と新たな様相も見えてくるかもしれない。

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このページは、不破雷蔵が2014年6月20日 07:08に書いた記事です。

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