予防線その2と「あいつはけなした! ぼくはおこった! それでこの一件はおしまい!!」

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↑ 予防線
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【「美味しんぼ」で今のうちに釘を指しておこう】に続き、自分の覚え書き的なところが強い、釘刺しというか予防線的な件。早ければ明日あたりから早売りの情報が出回る可能性があるからね。

まずこんな仮定を立ててみる。まったく同じ過去の経歴、つまりテレビ化したり無茶苦茶売れたり雑誌の柱的な存在となっていたり多くの人には事実を語っているようなものとして受け止められていたり、日本全土に商業誌として毎週多数が配本されて不特定多数の人の目に触れ、取得ハードルが低いという条件の上で、今回の一連の作品でタイトルに大きく「完全なフィクションです」と一言描かれていたら、どういう扱いを受けていただろうか。また、19日発売号掲載の内容がどのようなオチを付けるかは不明だけど(すでにコラで「という夢を見たのさ! 完」なんてのまで確認されている)、3回分を一度に掲載していたらどうだっただろうか。

騒動の度合い、論争の方向性は多少違っていたかもしれないけど、恐らくは大きな違いは無かったように思う。なかなか上手い表現が見つからないのだけど、例えばエイプリールフールにおいて、冒頭で「これから流すニュースは4月バカのものです」と断りを入れた上で、普通のニュース番組の枠で、30分間延々と科学的に無理のある、第三者を誹謗中傷し陥れる、社会的倫理性上問題のある捏造ニュースを「通常のニュースと同じ様式、スタイルで」流され続けたら、それでも問題はナシということになるのだろうか。


もう1つ。ネットの上でちらほらと今件に関して、藤子不二雄先生の「エスパー魔美『くたばれ評論家』」 という作品に出てくる1シーン「(評論家に)批評の権利があれば、ぼく(絵描き)にだっておこる権利がある!! あいつはけなした!ぼくはおこった! それでこの一件はおしまい!!」をかかげ、発行元などに責任はまったくないとする意見が見受けられる。一見するとなるほど、という感じもするけど、よく考え直すと「それ、ちゃうんじゃないの?」という感じがする。

例示された『くたばれ評論家』で語られている話は、両者が近しい力関係にあり、しかもそれで痛手を受けることは(さほど)無い。しかもこれは情報発信側が語って初めて意味を成す言葉。例えばクラス全員から「事実と異なる」「理不尽な」陰口をたたかれて、それに対して自分が一言反応するだけでおしまいというのはおかしい。事実無根の誹謗中傷を街中にチラシでばら撒かれ、それに対してチラシをばら撒いた本人に「その内容はおかしい」と怒って、それで「この一件はおしまい!」というのはアリだろうか。まさに同じ藤子先生作品の名セリフ「いや、そのりくつはおかしい」ということになる。今件事例においては。

『くたばれ評論家』にしても、これが例えば評論家が絵の内容そのものを批評(というかこきおろす)したのではなく、絵具や用紙の具体名を挙げて「こんな低品質のものを使っているから絵がますますダメになる」「この画材は人に有害だ。ましてやそれを使って描かれた絵はもっと有害だ」と批評していたら、絵描きが怒り返して「おしまい!」で済んだだろうか。そうは思えないのだが。

そう、つまり、このたとえでは「発言に関する責任」ってのが全く論じられていない。そこも大きな問題である。今件「美味しんぼ」ではそれこそが大きな問題なのに、ね。

これに関してはまだいくつか説明したりない部分がある気もするけど、とりあえず、こんなところで。

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このページは、不破雷蔵が2014年5月15日 07:39に書いた記事です。

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