劣化、それとも元から? 「なぜフリージャーナリストは震災後に劣化したのか?」

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【なぜフリージャーナリストは震災後に劣化したのか?】


これは簡単なようでいて、落とし穴だらけの難しい関係性だ。読者の中には優秀で理解力のある人もたくさんいるが、一方で頭が悪く俗悪で単純な構図しか理解できない人はそれ以上にたくさんいる。書き手はそれらの読者のセグメントを分けて判断できればいいのだけれど、ことはそう容易ではない。俗悪で単純な記事を書いたとたんにページビューが跳ね上がったり、そういう内容の本が売れたりしてしまうと、「これが読者の求めているものなのか!」と思い込んでしまって、明後日の方向へと突っ走ってしまうということになるのだ。

これこそがジャーナリズムの衆愚ビジネス化というたいへん暗く深く、大きな問題である。

ここ数年、フリージャーナリストの劣化が著しいと指摘されている(佐々木俊尚よお前もそうだ、といわれてしまえば詮無いが)。名前を挙げるのは名誉毀損に当たるので止めておこうと思うけれども、ただ自分の知名度を上げるためだけに扇情的な記事を書き、ウソをまき散らしてるようなジャーナリストはひとりやふたりではない。その傾向はここ数年徐々に増えてきていた感があるけれども、震災以降になって急速に加速してきた感がある。

彼らはおそらくは望んでそうしているわけではない。プロの報道コミュニティが消滅してしまった状況の中で、誠実に読者と向き合おうとした結果、読者のニーズをそのように読み過ぎてしまい、そっちの方向へと走ってしまったということなのだ。しかしこの「読者ニーズ」というのは、正しいニーズではない。このニーズを正しいと思ってしまう人は、ワイドショーが俗悪なゴシップや人権無視の酷い事件報道をしていることを批判できないし、写真週刊誌『FOCUS』を創刊した名物編集者斎藤十一の言葉「おまえら、人殺しのツラを見たくないのか?」を否定することもできないのだ。


「グレシャムの法則」、あるいは「悪貨は良貨を駆逐する」で説明がつくんじゃないかとか思いつつ。「劣化した」というのはどのような解釈ができるのかな、ということでちょいと考えてみると。「元々低品質だったのが露呈※された」「品質は高かったけどこの数年、特に震災以降に落ちた」の2パターンが考えられるわけで。多分にその双方ではないかなあ、と。

それと、元記事後半で「信者ビジネス」とあるけど、むしろ「洗脳ビジネス」「新興宗教ビジネス」じゃないかな、と。「洗脳」の手法の一つとして、対象に大きな精神的ダメージを与えて既存の価値観を打ち砕き、そこに洗脳する側にとって都合の良い「新しい(正しいかどうかなど関係は無い)価値観を注ぎ込む」というのがある。既存の価値観と新しい価値観が相反していれば最高。震災周りのごたごたは、この「洗脳」のための条件を自然が提供してしまったことになる。天災の後に怪しげな宗教が蔓延るのも、これが遠因。

だからこそ「信者ビジネス」を会得したフリージャーナリスト達が、冷静な、数理的な、常識的な考えや理論を頑なに拒み、非難の応酬をするのも理解できる。事実が浸透したら、自分たちの稼ぎ口が否定されちゃうからね。


※「暴露」を「露呈」に変更しました。こちらのほうが無難そうです

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このページは、不破雷蔵が2012年8月 3日 07:29に書いた記事です。

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