需給のバランス悪化からくるドミノ倒し...停電のメカニズム

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一つは、送電線の事故等により電気の流れる経路が途絶してしまうことによる停電。

もう一つの停電は、需給のアンバランスから来る「系統崩壊」によるものだ。電気は貯蔵できないので、発電量と消費量が常に均等していることが求められ、これが維持できないと電気の周波数が変動する。周波数という言葉は一般的になじみが薄く、西日本では60Hz、東日本では50Hzを基準としており統一されていない、ということくらいしか知られていないが、この周波数が0.2Hz程度変動しただけで一部の機器には影響が出る、電気の品質の重要な一要素である。平成14年10月の資源・エネルギー庁「系統利用制度WG」に提出された関西電力株式会社の資料によれば、0.2Hz程度以上の周波数変動により、糸を延伸する電動機の回転数が変化し、製品の糸に細いもの、太いもののばらつきがでたという繊維会社の事例が紹介されている。

発電機は上記の例にあるような機器と比較すれば周波数変動に適応できるものの、需要が供給能力を上回り、周波数が1~2Hz程度低下すると、自らの身を守るために系統から離脱する機能を持っている。タービンが振動で壊れたり、巻き線が過熱して切れる恐れがあるからだ。

これで発電機が離脱すると供給力が失われるため、さらに需給のバランスが悪化して「ドミノ倒し」が起こる。そうした事態を防ぐため、需給がひっ迫してきた際に一部の負荷(需要)を遮断することで全体を守る「系統安定化装置」といった手立ても開発・導入されている。しかし、その機能もうまく働かなければ、広域大停電に至る。万が一、発電機が全て系統から切り離されてしまい、いわゆるブラックアウト(全系崩壊)に至ると、その復旧作業は至難の業だ。


比較的短い文章ながらも、停電が起きるメカニズム、安定性の低い自然エネルギーがどうして電気というインフラに向いていないのか、電力需給における「予備率」の大切さについて語られている。

「電力不足による停電」というと、おそらくは一つ目の「物理的回線切断による停電」をイメージするため、供給力不足による停電も似たようなものだと考えている人がほとんどのはず。だからこそ、自然エネルギーの不安定さについても注意が払われていない。

試験に出るわけじゃないけど、覚えておいて損は無し。


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このページは、不破雷蔵が2012年6月26日 08:37に書いた記事です。

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