NAS電池事故への対策費、600億円と想定

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平成23年9月21日に発生したNAS電池(ナトリウム硫黄電池)の火災事故に関連し、事業推進に向けた安全対策等の特別損失を想定しましたほか、移転価格税制に基づく更正処分の通知を受ける見込みとなりましたことから、10月28日に公表した平成24 年3月期通期業績予想を、下記の通り修正しましたのでお知らせいたします。

今回の火災事故に関する消防当局による原因調査は現在も継続しており、当社はこの調査に協力する形で、社内の事故調査委員会が中心となり、火災の原因究明と対策の検討を進めております。これまでに、火災発生前後の電池運転記録の解析、製造履歴の調査、火災の再現試験などを実施したほか、部品、設計、製造から施工に至る各工程において火災の原因となり得る、あらゆる因子の調査を進めてまいりました。

こうした一連の調査に基づき、火災につながる可能性のある要因の排除に加え、万が一火災が発生しても拡大を食い止める多重の安全対策の検討を進めております。当社は平成14年にNAS電池を事業化して以来、安全対策に注力してまいりましたが、今回の火災事故が発生したことにより、長年積み重ねてきた安全対策が万全ではなかったものと真摯に受け止めております。あらためて全社の技術部門の総力を挙げ、さらに社外の有識者の知見も加えて、原因の究明とそれに基づく追加の安全対策を確実に実行いたします。まずは電池を安心して使用していただけるよう、既設の電池に対しこれらの安全対策を施し運転再開を進めます。また安全対策を織り込んだNAS電池の生産再開を来年度の前半を目標に取り組んでまいります。

再生可能エネルギーの活用やスマートグリッドへの期待、エネルギー政策の見直しなど、大容量蓄電池に対するニーズは世界的にますます高まりつつあります。当社はこの状況を踏まえ、新規の需要を捉えて事業を着実に拡大するために、大容量かつ高効率の蓄電能力で高い評価をいただいているNAS電池のさらなるレベルアップを目指します。

なお、最終的な火災原因の特定と安全対策の認定は今後、消防当局によってなされますが、当社における原因究明と対策の検討が進捗したこと、また、当期の業績に重大な影響を及ぼすことを考慮し、今回の火災事故に起因して今後、発生が見込まれる各種費用の総額約600億円を特別損失として推定いたしました。NAS電池事業の拡大のために必要な対策と考えうる前提のもとで費用規模を想定いたしましたが、未確定の要素も多いため、引き続き精査を行い、必要に応じて見直してまいります。


現時点で最終的な火災原因の特定は「まだ」だけど、見通しがついたということで特損額を推定して公開、という話。暗中模索・五里霧中のまま、NAS電池そのものの命運が......というリスクすらあったけど、とりあえず目途がついたようで。あとは一刻も早い原因の完全なる特定と、それに対する対処を果たし、NAS電池回りの汚名を返上することだろうね。蓄電技術は今後ますます需要が高まるので、期待したいところ。

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このページは、不破雷蔵が2011年12月21日 07:03に書いた記事です。

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