防災とダメージコントロールの考え方について

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いずれにせよ相対値だけでなく絶対値におけるリスクの「正しく」かつ「適切な」情報開示が「現在の政治機構における」公的機関から徹底的に欠けているのが最大の「災害」だと断じえますね。今件で色々と「化けの皮」が剥がれてるんで、これを機会に出来るだけ「脱皮」して、真の新時代を構築してきたいものです。

まぁ、これまでにも(分かりやすい情報公開の動きは)色々と動きはあったんでしょうが、反対派の方々がAll or Nothingの考えを貫いて、リスクが生じることの想定自身が不届きだ的にタブー視してたんで、土壌が育たなかったのが難点ですねえ。災害対策すべてに言えるんですが。

陸自が直接提供したヘリからの津波の動画を観ると、完全に防げなくても時間稼ぎとかには成功してるんですよ。改めて未だに闊歩している「防波堤などは意味が無い」「完全に防げなきゃ意味が無い」という論調の愚かさが分かるんですね。そうじゃなく、少しでもリスクを減らし、安全性をかさ上げし、時間を稼ぎ、生存確率を挙げるという、総合的な防御策の一環として考えるべきなんです。総合災害対策学みたいな形で。

で、先日から逐次挙げている、津波避難者のアンケート調査によれば、知識なり訓練なりが足りなくて、避難初動が遅れてる人が結構いて、結局「防波堤で時間を稼いで」「日頃からの訓練と周知をもっと徹底していれば」さらに被害は縮小化できる可能性が見えてくるんですね。

防災ってのはあくまでも、少しずつ、少しでもリスクを減らせるか。SEOの逆......みたいなもんですか。それを「全部防げなきゃ意味が無いから無駄だ」とかいう話とかも出てるんで、昨今の「仕分け」にブチ切れてるってのもつながってたりします。

軍事的分野では「ダメージコントロール(ダメコン)」って言うんですが、損害を受けた時にどれだけ縮小化できるか、そしてどれだけ素早く復旧できるかということなんですね。「敵の弾を絶対に受けないようにする」じゃなくて「受けても被害を最小限に抑えて、復旧を早くするか」。

「当たらなければどうということはない」(C)シャア みたいなのは戦前の考え方(航空機の防弾概念)なんですが、そういう考えを一番嫌っているはずの方々が、実は同じ考えて運動起こしてるってのが、どうもやりきれない今日この頃です。


軍事的な考え方なら、防災を「ダメージコントロール」として考えるべきだ。オール・オア・ナッシングなんて理想論だ的な話。おととい少々くだをまいて、トゥゲッターでまとめてもよかったんだけど、一部文意的に妙なところもあったので、それを直した上でまとめてみた。文中の「陸自の動画」ってのは、上にも再掲載した【陸自提供の震災発生直後の動画が凄まじい件について(別版・長バージョン) 】のやつ、「津波避難者のアンケート調査」ってのは【東日本大地震での津波避難者、最初の場所から別所に移動した人は回答者の6割】のサーベイリサーチセンターのやつね。

ダメコンの考え無視して「100%が出来なきゃ無駄だ」ってのは、彼ら・彼女らが一番忌み嫌っている、戦前の日本軍の一部兵器設計思考と同じなんだけどねえ。ここにも「ミイラ取りがミイラ」でしたの影が見え隠れというやつだ。

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このページは、不破雷蔵が2011年5月 9日 12:48に書いた記事です。

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