現役FPが語る「身近なお金の知恵」……国家の借金の行く末は?
2009年10月2日〜3日、愛知県名古屋市のウインクあいち(愛知県産業労働センター)にて、FPフェア2009が行われました。リーマンショックよりおおよそ1年経過し、政権交代直後のFPフェアということもあり、初日の基調講演、および翌日の特別講演では、経済評論で著名な方が招かれ、日本経済についての行く末について語っておられました(※今記事は2009年10月当時のメルマガのものです。資料的なものとしてお読みください)。基調講演 「日本経済のゆくえ」 水谷研治氏
特別講演 「これからの日本経済を展望する」 伊藤元重氏
話の進め方や細かい部分はもちろん違うのですが、両氏の話を聞き終えて私が感じた感想は同じでした。「日本国家の借金をこのまま放置してインフレ局面を迎えたら、本当に大変なことになる。それは10年後かもしれないし、来年かもしれない」ということです。
一般論になりますが、おおよそ、年収に対してその約半額もの借金を抱えてしまうと、人は資金繰りに窮します。年収400万円の人が、無担保ローンを200万円も抱えると、毎月の返済のほとんどが金利相当分となり、元本を完済するのが非常に厳しくなります。
もちろん、実際の借金の条件次第でもあります。金利が低めの住宅ローンならば、年収の4〜5倍程度の借金を抱える場合もあるでしょう。ただ、この場合は、返済主の将来の収入が安定して増えていくことが破綻を防ぐ前提です。
比較的最近の例として、北海道の夕張市が2007年に財政再建団体となりました。このとき、夕張市の債務の規模は、実際の税収の8倍程度だったそうです。それが、財政再建団体になって何が起こったか? 役職員の半減、給与カット、市議会議員も半減、議員報酬も大幅削減。市の保有する観光施設の売却。市民税、固定資産税、軽自動車税の増税、下水道使用料の値上げなど。すなわち、あらゆる限りを尽くしたリストラ、市民サービスの低下と、可能な限りの増税
が行われたのです。
振り返って、日本政府はどうなっているか? 今現在、税収の約20倍、GDP160%もの債務があるといわれています。理屈の上では、夕張市で起こったことが、国全体でいつ起こってもおかしくないのです。
仮に、今後の政権がなんとか頑張って債務を減らすことを試みたとしましょう。しかし、全世界を見渡しても、これほどの債務を作った国がまともに立ち直った例はない、というのです。
救いを求めるとすれば、今現在の日本経済はデフレの真っ只中であることと、低金利が続いていることと、何故か円高が起こっていることです。これらが絶妙なバランスで推移しているため、なんとか破綻せずにここまで来ています。
さらに、日本政府の債務の引き受け手が日本国民であることと、貿易黒字であることが、結局のところそれほど心配する必要はない、という楽観論の元にもなっています。
正直言うと、将来、日本の財政がどんなタイミングでどのようなことになるのか、想像もつきません。私たちは、グッドシナリオ、バッドシナリオのどちらにも対応できるよう、自ら準備を進めておくことしか出来ないでしょう。すなわち、なるべく稼ぎ、不必要な出費を控え、余ったお金を運用しながら蓄えを増やしておく、自助努力を続けることが重要なのでしょう。
(終)
●筆者紹介
・松本勝晴(まつもと・かつはる)
CFP(R)認定者で独立系ファイナンシャルプランナー。生活に身近な視点からパーソナルファイナンスの重要性を伝授。
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※今寄稿は先生発行のメルマガの内容を再構成したものです。