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現役FPが語る「身近なお金の知恵」……相続税を支払う人が少ないのは理由があるのです

FP連載前回は贈与税について簡単に解説しました。今回は、平成22年度税制改正大綱が発表されたことを踏まえて、相続税について解説することにします(【参考リンク・2009年12月22日発表:平成22年度政府税制改正大綱(PDFファイル)】)。(今記事は2009年12月配信のメルマガ記事の再編集のものです。当時の状況を反映した、歴史を振り返る内容のものとしてご覧ください)

これまでの相続税は、相続が起こったとしても、実際に納税するのは100人のうち4人程度でした。これは、1980年代のバブル経済のときに納税対象者が大幅に増えたことから、基礎控除を引き上げたり、不動産に関する評価額を軽減する制度を導入したためでした。これを、平成23年度を目標に、相続税の課税ベース、税率構造などを見直すとのことです。また、現役世代への生前贈与により財産を有効活用できるよう、贈与税も見直すようです。

ちなみに、現在の相続税が、どのような仕組みになっているか、解説します。現在の相続税の税制によると、基礎控除は以下のようにかなりの金額になっています。

基礎控除額=5000万円+(法定相続人数×1000万円)

すなわち、夫婦と子供2人の家族のうち、夫が亡くなって相続人が3人の場合は、

5000万円+(1000万円×3人)=8000万円

夫の財産が8000万円を超えていなければ、相続税はかかりません。たしかに、これほどの金額であれば、96%もの相続に税金がかからないというのはうなずけます。

ちなみに、現在の相続税の税率は次のとおりです。

課税標準 税率 控除額
1,000万円以下 10% −
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
3億円以下 40% 1,700万円
3億円超 50% 4,700万円

仮に、先ほどの4人家族の夫の残した財産が、1億2000万円だったとしましょう。基礎控除額が8000万円ですから、課税標準は4000万円です。実は、この4000万円を単純に税率には当てはめません。相続人が法定相続どおりに受け取ったものとして、按分したものに税率をかけます。ちなみに、法定相続割合は、配偶者と子供のいる場合は、配偶者と残った子どもが半分ずつです。今回のケースでは子どもが2人いるので、さらに半分ずつになります。

つまり、課税標準は、妻が2000万円、子どもがそれぞれ1000万円になります。税額は次のとおりです。

1000万円×10%=100万円
2000万円×15%−50万円=250万円

よって、遺族3人の合計の税額は、

250万円+(100万円×2人)=450万円

この450万円を、実際に受け取った遺産の額に応じて分けます。仮に妻が1億円分、子どもがそれぞれ1000万円分を相続した場合は、

妻分の税額:450万円×(5/6)=375万円
子ども1人分の税額:450万円×(1/12)=37万5000円

この場合、子ども2人は素直にそれぞれ37万5000円ずつ支払います。

ですが、妻に対してはさらに税額の軽減措置があります。配偶者の税額の軽減によると、実際に相続などで受け取った金額が次の金額のうち高い方より少ない場合は、配偶者に相続税はかかりません。

・1億6000万円
・配偶者の法定相続分

今回のケースでは、夫の全財産が1億2000万円という設定でしたから、妻が全額を相続したならば、1億6000万円より少ないため、相続税はかからないということになります。子どもたちには、徐々に仕送りすればよい、というわけです。もっとも、鳩山ファミリーのように毎月1500万円も「仕送り」するのはいかがなものかと思いますが。

ともあれ、このように比較的、対象者が少なくなるような制度設計になっている相続税が、今後は見直しされるとのことですので、注目すべきでしょう。


(終)

今件はメルマガ配信時のものです。現時点では制度内容が変更されている場合もあります。詳しくは税務署などにお問い合わせください
現役FPが語る「身近なお金の知恵」は今回が最終回となります。長らくのご愛読、ありがとうございました


筆者紹介
・松本勝晴(まつもと・かつはる)
CFP(R)認定者で独立系ファイナンシャルプランナー。生活に身近な視点からパーソナルファイナンスの重要性を伝授。
・松本勝晴のメルマガ紹介(今コーナーの最新版はこちらで配信中)
「お金を使いたいなら増やしなさい!」
(【http://www.mag2.com/m/0000251948.html】)
・松本勝晴の事務所紹介
松本FP事務所
(【http://mfpoffice.org/】)

※今記事の内容は執筆時点でのもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。
※今寄稿は先生発行のメルマガの内容を再構成したものです。

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