通院している人、どれくらい? 通院率をグラフ化してみる(2010年分反映版)
厚生労働省は2011年7月12日、平成22年度版の「国民生活基礎調査の概況」を発表した。国民生活の基本事項を調査し、各行政の企画や運用に必要な資料を収集する目的で行われているものだが、資料性の高いデータが豊富に盛り込まれており、注目に値する。今回はその中から「通院している人の割合」についてグラフ化してみることにした(【発表ページ】)。今調査は2010年6月3日・7月15日にそれぞれ「世帯票・健康票・介護票」「所得票・貯蓄票」を配ることで行われたもので、本人記述・後日回収で集計されている(一部は密封回収)。回収出来たデータは世帯票が世帯票・健康票が22万8864世帯分、所得票・貯蓄票が2万6115世帯分、介護票が5912人分。なお1995年分は阪神・淡路大震災の影響で兵庫県の分はデータが取得されていない。
今回スポットライトを当てるのは病気やけがなどで病院に通っている人、つまり「通院者」の割合について。計算を行う際に入院者は通院者にはカウントされないが、比率を計算する際の世帯人員数には入院者自身も含まれる。よって、例えば「通院者」が37.0%だったとして、残りの63.0%が全員病院と無関係なわけではなく、何%かは入院していることになる。
さてまずは世代別の通院者率。全体では4割近くの37.0%。30代までは2割内外だが、40代以降は急激に増加。70代以降は7割をキープしている。平均的な定年年齢である65歳以上で区切れば、約2/3が何らかの形で通院中という計算。

↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2010年)
若年層の通院率が若干高めに見えるかもしれない。これは一般の病院の他、歯医者や眼医者なども合わせて通院とカウントしているからに他ならない。
これを男女別に見ると、10代までは男性が、それ以降はほぼ女性の方が通院率が高くなる。女性は妊娠や腰痛など、入院の起因となる要素が多いからだろう。

↑ 年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(男女別)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2010年)
特に20〜30代にかけての男女の差異が、妊娠周りによる通院機会の多さを指し示している。
元資料には2010年分のデータ以外に、前回の「国民生活基礎調査」大調査(健康なども含めた大規模な調査。3年に一回で、今回分2010年の前は2007年分だった)の値も掲載されている。そこで差し引きを行い、3年間で通院率がどれだけ増減したかを計算したのが次のグラフ。マイナス値は皆無で、すべての階層で増加している。

↑ 性別・年齢階層別に見た通院者率(通院者には入院者は含まず)(分母となる世帯人員数には入院者含む)(2007年から2010年への変移、%ポイント)
これは「入院患者・入院数を減らそう」という政策による結果。一般に保険給付金はベッド数・療養病床に比例するため、それらを減らすことで保険給付費≒医療費を減らしていこうとする厚生労働省の方針によるものである。また、特に高齢者においては、いわゆる「社会的入院」(傷病の治癒以外の目的を主としての入院)を解消する狙いもある。
「まずはそれらを必要としない健康増進、社会コミュニティ形成のための政策を先に推し進めるべきでは」「入院条件をきつくすれば自然発生的に健康増進の動きは発するはずだ」など意見は賛否両論あるが、それはともかくとして、数字の上では明らかに通院者率が増加しているのが確認できる。通院者率はまだデータが出ていないが、恐らくは横ばいか、あるいは漸減している可能性すらありえよう。
詳細データのe-Statへの収録は、先日確認したところ(【「国民生活基礎調査」のデータ反映は11月】)、11月中には、とのことだった。それまではひたすら待つしかない。なお右に挙げているのは、男女別の通院者における傷病種類上位5位。男女とも高血圧症がトップで、以下男性は歯の病気に糖尿病、女性は高脂血症、歯の病気が続く。
また、2007年時点で「世帯内に入院患者がいるか(入院者本人は回答しえないので「家族にいるか否か」となる。また入院者数は尋ねていない)」との問いに対し、総世帯では3.7%・高齢者が居る世帯限定では5.1%・高齢者をのぞいた世帯では3.4%が「入院者が居る」と答えている。大体上記グラフに成人は2〜3%、高齢者は5%を足せば、「入院+通院者率」が概算として導けるだろう。
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