50年余りに渡る雑誌の販売間隔別出版点数動向をグラフ化してみる
先の【戦後の雑誌と書籍の発行点数をグラフ化してみる(「出版年鑑」編)】にもある通り、総務省統計局に収録されている【日本の長期統計系列】や【日本統計年鑑】などを元に、出版業界や映画関連の中期的な動向を把握できる数字を抽出している。今回は戦後における、雑誌の販売間隔(例えば月刊、季刊、週刊など)別出版点数動向を見て行くことにしよう。先の記事にもあるように、雑誌は直近では2005年をピークに低迷を続けている。このあたりは冒頭で触れている「出版物販売額の実態」を元にした記事【出版物の売り場毎の販売額推移をグラフ化してみる(2011年「出版物販売額の実態」版)】や、間接的ではあるが広告費の動向からもうかがうことができる。

↑ 雑誌点数推移(1948〜2009年、「出版年鑑」ベース)(再録)
それでは雑誌の発売間隔(冒頭でも触れているように、月刊や季刊、隔週刊など、定期発刊雑誌の発売時期)別に区分した場合、どのペースで発売している雑誌が(種類的に)多いのだろうか。積上げグラフと、各項目別の折れ線グラフで示したのが次の図。

↑ 雑誌の出版点数(発売間隔別)(〜2009年、「出版年鑑」)

↑ 雑誌の出版点数(発売間隔別)(〜2009年、「出版年鑑」)(各区分別、点数)
コンビニの雑誌コーナーでは週刊誌や隔週刊誌が面積の多くを占めているが、雑誌全体数に対する割合では、月刊誌が圧倒的多数なのが分かる(種類数であり、発行部数・印刷部数ではないことに注意)。専門誌、業界関係誌の多数が月刊ペースでの発売なのを思い返せば、当然の結果といえよう。
全体的な経年の流れとしては1960年代前半に大きな飛躍があり、その後は漸増。そして20世紀末にピークを迎え、2004〜2005年以降は漸減状態にある。月刊誌だけに限れば、ピークは1990年代後半に到達、以後は規模の縮小を継続中。
1960年代の「跳ね上がるような伸び」だが、【新刊書籍・雑誌出版点数や返本率推移をグラフ化してみる】内で取り上げた「日本雑誌協会 日本書籍出版協会 50年史」内に次のような言及がある。
60年代を通してみたとき,新刊点数が61年から3、4年間停滞していることがわかる。雑誌の部数も書籍も伸びていない。だが平均定価の伸びで売上げは上昇している。とくに後半は、64年の2000億円が68年には3600億円となり、伸長がめざましかった。これは日本の経済成長を上回る数字である。
この大幅な伸びの要因は、大量生産、大量宣伝、大量販売に加え、定価の上昇にあった。60年の書籍の平均定価は441円、70年には1275円と3倍近くになっている。売上額は60年を100として書籍・雑誌が70年には384と約4倍になった。とくに書籍よりも雑誌の伸び率が大きい。『新週刊』(61年、新週刊社)、『週刊TVガイド』(62年、東京ニュース通信社)、『女性セブン』(63年、小学館)、『週刊少年キング』(63年、少年画報社)、『プレイボーイ』(66年、集英社)、『週刊少年ジャンプ』(68年、集英社)、『週刊ポスト』(69年、小学館)など、TV雑誌、女性誌、コミック、男性誌などがあいついで創刊された。いずれも巻頭にカラーグラビアがつき、ビジュアル化が進んだ。これによって、出版界は雑誌売上げに力を入れる傾向が強くなった。
1940年代末期に到来した出版ブームに続く、戦後第二期の出版ブームといえる。現在でも継続して販売されている大手雑誌が相次いで創刊されたのもこの時期で、いかに勢いがあったかがうかがえる。
なおこれらの発売間隔別の動きのうち、月刊誌があまりにも多数を占めるため、それを除いでグラフを再構築し、他の発売間隔の動向を確認できるようにしたのが次の図。

↑ 雑誌の出版点数(発売間隔別)(〜2009年、「出版年鑑」)(各区分別、点数)(月刊誌以外)
隔月刊誌は漸増中、季刊誌は1980年代で早くも頭打ち。週刊誌や月2回刊誌は20世紀末で頭打ちとなり、以後は横ばいから漸減。旬刊は1970年代以降は少しずつ減少の傾向を継続しているのが分かる。
今件データは2009年までのものだが、直近数年間に限れば、どの発売間隔区分もあまり調子は良くない。昨今の雑誌休刊ラッシュを思い返せば、この「調子低迷感」が現在まで続いていることは容易に想像ができよう。
今件データで注意してほしいのは、あくまでも「出版点数」であり、「印刷証明部数」や「販売部数」では無いこと。雑誌の点数が増えても1点あたりの販売数が伸び悩んだのでは、業界の拡大とは必ずしも言えない。逆に「粗製乱造」の状態とも受け止められかねない。そのあたりの業界動向・事情に関しては、毎年定期発刊「出版物販売額の実態」などを元に、随時見て行くことにしよう。
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