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産業の活力が分かる、大口電力使用量をグラフ化してみる(2011年9月分)

大口電力電気事業連合会は2011年10月21日、2011年9月分の電力需要実績の速報を発表した。それによると同年8月の電力需要(使用量)は10社販売電力量合計で759億kWhとなり、前年同月比でマイナス11.4%を記録した。産業用の大口電力需要量は前年同月比でマイナス5.7%を記録し、7か月連続して前年同月の実績を下回ることになった(【発表リリース、PDF】)。

大口電力とは一般に500kW以上を指すもの。産業別の大口電力消費量(電力会社から見れば大口電力の販売量)は、その業種や産業の活力を表す指標として注目されている。どのような産業も電力を消費し、その量は機器の稼働率や稼働時間に伴い増減するので、「電力消費量が大きい」=「その工場が活力に満ちあふれている」と判断できるからだ。逆にいえば残業無し・工場の平日の休止などが相次げば、大口電力消費量も減少することになる(家庭でも暖冬でエアコンを使わなければ、電気代が少なくなるのと同じ理由)。ただし昨今では電力需給問題に端を発した加速度的な節電対策(商品の需給とは関係の無い稼働率の変更、冷暖房の調整、照明のLED化など)もあり、以前と比べると比例関係はやや薄らいでいるともいえる。

2011年9月においては大口全体で前年同月比マイナス5.7%。「前年同月比」というしばりがあるが、それだけ工場の施設の稼働率が(昨年の同じ月と比べて)減ったことになる(機器の技術進歩の他に直上で説明した節電効果でのマイナスもいくぶん数字には反映されているので、今年3月分以前の数字動向と比べると、多少は誤差の範囲が大きい可能性がある)。

大口電力使用量産業別前年同月比(2011年8月-9月)
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比(2011年8月-9月)

今月も前月同様に多くの部門で数字の悪化が確認できる(機械は変わらず、紙・パルプと非金属は改善しているが)。マイナス値が多い、そして先月よりも下落しているのは、「昨年の猛暑と比べて」気温が低めだったことに加え、9月初頭までの電力使用制限令の発令に伴う法的義務を伴う、そしてその後も続く(生産調整に伴う電力需要の変化では無く)自発的な節電が大きく影響している。

先月比のグラフでは中長期の流れをつかむことは難しい。そこで記録保全の意味も含め、2007年1月以降の全産業別の前年同月比推移グラフを掲載しておく。

大口電力使用量産業別前年同月比推移
↑ 大口電力使用量産業別前年同月比推移(2007年1月以降)

中期的な大口電力使用量の動向としては、「2010年4月を天井に、同年3月までの急速回復傾向がやや失速に転じた後の、安定成長期に移行したように見え」た動きがほぼすべて失われ、2011年3月から大きく下落しているのが改めて確認できる(無論東日本大地震を直接・間接起因とするもの)。また直近数か月はほぼすべての項目でマイナス圏での推移が続いており、工場の物理的な損害以外に、(原材料の調達不足、タイムシフト・デイシフトをはじめとする各種節電対策など)多種多様な稼働率調整が影響している様子が見て取れる。さらに1年前のこの時期が回復傾向にあったことを考えると、「それ(1年前)と比較して」の値が算出されるので(つまりはプラスと比較される。今月の場合は2010年9月で、その時は全体で「その時の」前年同月比プラス10.4%)、今後しばらくはマイナス値を継続することが容易に想像できる。

今件大口電力は国内景気(内需)を推し量る物差しとなる指標の一つ。被災した工場が復興するまで、物理的な電気の消費元が減ることになるのに加え、上記でも触れているが、各種部品不足に伴う工場の稼働率の低下、電力使用制限令(あるいはそれに類する自主規制)による消費電力減退など、数字の低迷は否めない。

今後も全体の需給の流れと共に、特に製造業絡みでの動きを確認できる、大口電力の動向は注意深く見守りっていきたい。

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