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乳児・新生児の死亡率変移をグラフ化してみる(1899年以降版)

新生児先日【乳児の死亡率変移をグラフ化してみる(2011年版 子供・若者白書)】【江戸時代の平均寿命とエネルギー消費量】にて、過去の日本における衛生・乳幼児の育成環境とエネルギー消費変移に絡む実データを提示したところ、多くの反応をいただくことができた。その中で目に留まったのが「もう少し細かな、昔からの推移を見たい」というもの。色々と調べを進めたところ、ようやくその要望に応えられそうな集計結果を発見した。そこで今回も含めて数回に渡り、その「見つけた集計結果」を元に、100年前後の昔から今に至るまでの、日本の実情を示すいくつかの衛生健康保険周りの値の変移をグラフ化していくことにする。今回は元になった記事を補完する意味も合わせ、乳児などの死亡率変移についてスポットライトを当てることにしよう。

データの取得元は【平成10年(1998年)の人口動態統計月報・年計】。この回では人口動態調査が現在のスタイルを取り始めてから100周年を迎えたことを記念し、主要項目について100年の年次推移で公開し、分析を行っている。さすがに1944年〜1946年は戦争末期から戦後直後にかけての混乱期ということもあり、値は空欄化しているが、それ以外は各項目ごとに実数値などが盛り込まれており、まさに圧巻的内容。一方で1998年次の値は概算値、それ以降は当然収録されていない。

そこで1998年分以降は【人口動態調査統計一覧】から、月報年計を毎年分調べ、値の補完をしていく。最新データは2011年6月に発表された【2010年人口動態統計月報年計(概数)の概況】となる。

まずは言葉の定義。前回の記事では単に「乳児」とし、それのみの動向を記載した。今回は定義を確かなものとし、もう一つ「新生児」についても併記を行う。

「新生児」……産まれた日をゼロ日とした場合、生後ゼロ日から28日未満の児
「乳児」…… 〃 一歳に満たない児
(※「乳児」に「新生児」は含まれる)


ひと組目は、先の記事同様、乳児の死亡数・死亡率の推移。これを1899年以降継続して2010年分まで、そして戦後に限って再構築したもの、計2つをグラフ化した。

↑ 乳児死亡数・死亡率の推移
↑ 乳児死亡数・死亡率の推移

↑ 乳児死亡数・死亡率の推移(戦後限定)
↑ 乳児死亡数・死亡率の推移(戦後限定)

今回のデータ収録範囲でもっとも大きな値を示しているのが、1918年、スペイン風邪が流行した時期。【インフルエンザとタミフルとスペイン風邪と】でも触れている通り、世界中で猛威をふるったインフルエンザにより、日本でも多数の人が感染、死亡者が出た。現在と比べれば医療技術・衛生環境に劣る当時は、体力の少ない乳児のリスクも高く、実に18.9%もの死亡率を示している。100人の乳児出生に対し、19人近くが亡くなる(もちろん起因はスペイン風邪だけでは無いが)計算。直近における2010年の0.23%を知っていると、信じられない値ではある。

先の記事では戦後、しかも1950年代以降に限ってからのものだったが、20世紀初頭まで高止まりしていた死亡率・死亡数から、少しずつ、しかし確実にリスク軽減を果たし、1960年〜1970年の高度成長期を経て、一定水準の低さにまで到達。そしてそれ以降も引き続き、確実に安全化・低リスク化を推し進めていることが数字として表れている。

「技術の発展と共に、劇的に現れる低リスク化」は、よりリスクが高い時期を対象とした新生児でも同様。

↑ 新生児死亡数・死亡率の推移
↑ 新生児死亡数・死亡率の推移

↑ 新生児死亡数・死亡率の推移(戦後限定)
↑ 新生児死亡数・死亡率の推移(戦後限定)

上の解説にもある通り、「新生児」の対象期間は「乳児」の1/12でしかない。にもかかわらず、スペイン風邪の事例の吹き出しに記述されている数字を見れば分かるように、半数前後の値を示し、この時期がいかに高リスクであることがうかがえる。

その新生児の死亡率・死亡数も確実に減少。一歩引いてみると昨今ではほとんど直線、ゼロに近い値にまで減っているのが分かる。



今回取得できたデータのうち、もっとも古い1899年と、最新の2010年のものを併記すると次の通りとなる。

乳幼児死亡率……15.38%/0.23%
新生児死亡率……7.79%/0.11%

※(1899年/2010年 の順)

それぞれ約1/67、約1/71にまで減少している。現場で働く医療関係者の努力、医療保険科学の進歩、そして公衆衛生概念の普及浸透、エネルギーの活用が、これだけの成果を生み出している。

わらべ歌の「通りゃんせ」のフレーズにある「七つのお祝いに お札を納めに参ります」は、昔は乳幼児の死亡率が高く、7歳まで生き伸びることが今と比べて難しいため、無事に成長してその歳まで生きながらえたことを祝う儀式を表している、とする解釈がある。日本でもほんの数十年前、百余年前までは上記グラフにあるように、乳児・新生児の時点で生き長らえず事が出来ず、世を去らねばならない命が多数存在してた事実を、今回のグラフと共に知らねばならない。

そして昨今の環境整備・各方面の努力によって現状が支えられていることを、改めて認識するべきである。「当たり前だ」「何をいまさら」とする意見もあるだろうが、やもすれば不確かな知識のみ、あるいは現実と物語を混同した上で物事を主張する人がいる昨今だからこそ、その認識が求められているといえよう。


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【乳児の死亡率変移をグラフ化してみる(2011年版 子供・若者白書)】
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